美空
彼の写真の前に立つと、すべてを許されたかのような錯覚に陥る。
空の青さが綺麗で、私の汚い部分をすべて洗い流してくれる。
彼の新しい写真もそんな空だった。名前を見なくてもすぐに安藤さんがとった写真だとわかる。
不覚にも、斎藤君がいる前で泣いてしまった。
写真を見ただけで泣くなんて大げさ!?そんなわけない。安藤さんの写真は私を変えてくれたのだから。
泣いている私の横で斎藤君が静かに話しはじめた。
「空を撮るのにはわけがある。…空は綺麗だ。人間は空を愛し、決して汚してはいけない。僕はただそれを伝えたいだけなんだ。」
何度も読んだ。安藤さんの写真集の一番最後に乗っている言葉だった。
なんで斎藤君はそれを覚えているんだろう。ファンなのだろうか。
疑問に思って、斎藤君の方を見ると目が合った。
優しく微笑んで続けた。
「でも、最近は別の理由もできたんだ。ある日自分の写真も展示されていた写真展に言ったんだ。
そこに俺の写真を見て泣いている人がいた。……最初は人違いだと思ってたんだ。だって俺が思ってた人は……写真を見て泣くような人じゃなかったから。
でも、よく見るとやっぱりその人だった。…うれしかったよ。写真を見て泣いてくれる人なんて初めてだったんだから。
それからはずっとその人のために写真を撮ったんだ。…これを見てまた感動してくれるだろうか。ってね。
2ヵ月。そんな写真を撮るためにどこにだっていったんだ。
そして今日。俺の写真を見て、泣いてくれたね。」
安藤さんの写真は私のすべてだった。だって彼の写真があるから今の私がいるんだ。
斎藤君が写真家だったなんて知らなかった。私のことを気に掛けてくれていたなんて知らなかった。
「俺…いままでは空しか撮ったことないんだけど、次は人物を撮りたいんだ。
どうかな。美空。」
そう。私の名前は美空。
美しい空。だからより彼の写真にひかれたのかもしれない。
……そんなの。断れるわけないじゃん。
好きだよ。斎藤君も、斎藤君の写真も。
私を救ってくれた人。物。
それらに心から感謝したい。私は変わった。これからはなんだって感じることができる。
……だけど、今はただ斎藤君への想いだけを感じていたい。
全然まとまりがありません。すみません。もしこんな小説でも読んでくれたとぃう方がいらっしゃったら、もぅ本当に心から感謝です。




