第1話:感情欠落
「どうしてあなたってそうなの?…気味が悪いわ。」実の母が吐き捨てるように私に言った。
そんなの、私が知るわけがない。なんでかもわからない。ただ…ただ何にも感じないだけなのに。
私は感情欠落者だ。…親や同じクラスの人、近所の人が私をそう呼ぶんだ。
「うわぁー。可哀想。誰か拾ってあげないのかな?」道端に捨てられている犬を見て、そう言った女の子がいた。
私は道端にいる犬に目を向けた。何も感じなかった。
「綺麗な花だな。誰が持って来てくれたんだ?」教卓に飾られていた花を見て、担任の先生がみんなに聞いた。
教卓に飾ってある花をじっと見つめてみた。何も感じなかった。
「何言ってんだ、お前!?ははッマジウケル。」クラスメイトが腹を抑えて笑っていた。
わたしはそれまでの過程を聞いていた。何も感じなかった。
何が可哀想なの?何が綺麗なの?何が面白いの?なんで哀れんでいるの?なんで感動しているの?なんで笑っているの?
…なんで私ってこうなの?そう思っても、私の頬を涙が濡らすことも。みんなに申し訳なく思うこともなかった。
学校で自ら私に話しかけてくる人はいなかった。…いや。…一人いた。一ヶ月前から彼は学校に来ていない。
彼は唯一私に話しかけてきた、変な男の子だ。私の記憶の中に彼はしっかり存在している。
でも、彼が学校に来なくなったからといって、私は何も感じなかった。
「私」にとって彼はそれだけの存在なのだ。
ある日母が私に言った。「あなた、本当に感情がないの?なぁーんにも感じないの?」
私は頷いた。「これに行ってみなさい。なにか変わるかもよ。」
変わるわけがないと思ったので、受け取らなかった。「絶対に行きなさい。」母は無理やり私の手の中にねじ込んだ。
一週間後私は写真展に行った。母は行けと促したものの、連れて行こうとはしなかった。
電車に乗り、駅から10分歩いた。写真展は結構大きな会場で催されていた。
もったいないと思いながらも入場料を払って入場した。まだ母の勝手な態度に怒りを感じていた。
…と言っても、私の怒りは「どうして?」どまりだった。
入ってすぐのところに一枚目の写真が飾ってあった。題名は「母」だった。台所で皿洗いをしている姿だ。
じっくりと見てみても、何も感じなかった。母への怒りも消えなかった。
二枚目は「桜」という題名で、その題の通り満開の桜が写っていた。普通の人はここで足を止めて綺麗だと
見惚れるのだろうか。…とてもじゃないが、私にそんな気は起きなかった。
その後三枚、四枚、五枚…と足を止めることなく突き進んだ。
この会場には二百枚近くの写真が飾られるらしいが、そのすべてを見て回るのかと思うと気が滅入ってしまった。
何の感情も抱くことなくかなりの時間が過ぎていった。もう帰ろうかと思い、今まで進んできた道を戻ろうとしたとき。
私の目はひとつの写真に釘付けになった。
内容がまとまっていないですよね。
よくわからない小説になりそうです。




