喰われる
芸能界では、喰われるという言葉が存在する
——その人が出ていると、全ての役者よりも目立ってしまうそれがわき役でもだ
そんないつも食ってしまっている男は俺の親友だ
当たり前のように俺のソファでくつろぎながらテレビを見ている類は、美しい顔をしている
「お前も芸能界に入ればいいのに……きれいな顔をしているの勿体ないでも、お前は本当に喰われてしまうかもら、やめといたほうがいいな」と頭をポリポリと書く
喰われる、それが本当の意味で喰われることになっているとは、俺は思いもしなかったんだ
俺は、人には見えないものが見えることがある
「なぁ、あの芸能人なんか顔がぶれてないか」というと今若手の新人俳優だった
「あぁ、案外早かったなもう喰われ始めてる」と言いながら怪訝そうな顔をしている
「もし、俺が変わってきたらお前が俺を助けてくれよな」というその顔は今まで見たことがないほどの儚さだった
「助けるってなにから……」
「お前にならいいよな、俺たちが自分でいられるのは売れ始める前だけで、売れたころにはもうすっかりと中身を変えられてしまっているんだ」と言いながらうっすらと笑う
「写真を撮ると、半分の目だけがおかしいことがあるだろう
それは喰われている最中なんだよ、だから俺はそれを探すことができるんだだから今まで逃げることができていたけれど最近それが難しくなってきてる」と苦しそうにしている親友を見て俺は疑うこともしなかった。——なぜなら俺には霊感があるからだ
でも、そんな親友を見てなにか声をかけなければいけないがわからないでいると
「なぁ、俺が変わっても助けてくれよな」とノイローゼになりそうな顔をしている
「あぁ、約束する類がなにに怖がっているのかわからないけれど、何とか頑張るから」
「なんだか頼りないな、でもよろしくお願いします」と言いながら笑う君は、どこか迷子になったかのような子供の頃の泣きそうな顔をしていた
そんな親友を安心させようと、変顔したりしてたらもとの大好きな親友の類の顔だった
「バカだな、本当にお前は……」
それが最後になるとは思いもしなかったんだ
あの時もっと、話を聞いておけばよかったと後悔してもしきれないくらいだった
「はじまりました、今日も元気よく行きましょうゲストは類さんです」と
「ありがとうございます類です」
その顔は、目がぶれておりあの時の喰われている人と同じ目のブレがそこにあった
そして、突然類から、もう連絡はしないと言われそして、ニュースでは熱愛報道がひっきりなしに出るようになり、夜遊びもひどくなった
こんなの類じゃない、本を静かに読むのが好きな類がこんなになってしまって
「あぁ、喰われてしまった」と空気のように消える声で類を助けに行かなければと思う俺は、絶対助けなければと思ったんだ
——類を助けに行かなきゃいけない
ぎょろぎょろと目が回る類の顔を這うように言う
「お前はもう少しで全部喰われるぞ、楽しみだな」と不気味な声で笑う声が頭に響き渡る
あぁ、早く助けに来て……




