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侍忍者のゲンゾー

「団体力?」


「そうよ、あなたの強みは他の転移者と違ってパーティが組めること」


「この世界の転移者は、協調性とコミュニケーション能力がなくてチームプレイができないの」


その言葉には明らかにプルエルの強い怨念が入っている様相だった


(苦労してきたんだろうな…)


「というか、それでも転移者の利点である固有スキルを持ってない時点でただのチームプレイができるだけの雑魚じゃないですか?」


「あら、転移者の利点が固有スキルだけなんていったかしら」


「この世界の住人と比べて転移者は東洋魔法の系統を覚えやすいのよ」


「東洋魔法?」


「えぇ、主に転移者たちが編み出した魔法で、性質があなたの体質に限りなく合ってるのよ」


「これみて」


プルエルはステータス表の魔術適正の項目を指さした


「炎魔法C,水魔法C,雷魔法C,氷魔法C,土魔法C,獣魔法C,闇魔法C+,聖魔法C,東洋魔法A」


「本当だ、闇魔法がC+なの気になりますけど、東洋魔法の魔法適正がAですね」


「えぇ、魔法の適性が自分の体に合っていればいるほど深い理解を得られるし、直感で動かしやすいの」


「それがなんだ?」


「!!」


その男は、急に空気が形を成して産まれたかのように凡次らの背後へ現れた


勿論、空気が産まれたわけではないが、事実として男が凡次に近づくまでの間に吐いた息、纏った空気、運んだ躰、鳴るはずの足音、鼓動の音、身に着けた武具の金属音、服の擦れる音、この男を構成する全てがこの世から消え、凡次の背後で声を掛けて再構築されたとこの場の殆どは錯覚してしまっている


その男は小袖に羽織を纏っており小袖を黒の袴の中へ入れ帯で巻き袴を脚絆で抑えている


そして帯に二本の日本刀が括りつけられており柄や鍔から見るにどちらも業物のようだ


下半身の袴には暗器の入りそうな収納場所が何個かついている


まさに侍に忍者を混ぜたような恰好だった


「…ゲンゾー」


「ガルドから話は聞いたぜ」


「なぁエルよ、お前はそこの兄ちゃんと心中したいのかい?」


「確かにそこの兄ちゃんは東洋魔法の適性が高い」


「最高ランクのAだ、その上性格が他の転移者より柔和なおかげでチームプレイもできる…」


「だが…敢えてもう一度言おう、それがなんだ?」


男はそう言うと凡次のステータスの書かれた紙を刹那、懐の短刀で微塵切りにした


否、微塵などより細かく小さく切り刻まれていた


それは恐らく


きっと…


分子レベルで分割されているだろう


テーブルに置かれた紙だったものはすぐに風で吹き飛んだ  


紙が切られたテーブルの場所には傷一つついていなかった


目前の男はただでさえ切りにくい位置にある紙を神速で尚且つテーブルも傷つけず、紙を分子レベルで分割するという神業をやってのけた


「エル、夢見させるのは勝手だが」


「相応の現実を見させるのも義務だぞ」

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