春の冒険者登録-アイアンメイデンを添えて
凡次が二頭の龍に呆気に取られているとガルドが凡次を急かす
「何をぼさっとしておる!20年しか時間がないんじゃからキビキビ動け!」
「あ、すいません」
傾斜の木製の階段をせかせか進む
(ガルドさん…色々申し訳ないな…今度改めてプルエルさんと三人で話そう)
ガルドに視線を向けると、中指がたっていた
罵倒のジェスチャーは世界共通らしい
「すいません!」
階段を3分ほど降りていくと軒並に挟まれた
「どう?少しはあなたのいた世界の街並みに似てるんじゃないかしら?」
「…そうですね、傾斜の軒並みは似てます」
「下街は?」
「伝統文化って感じです」
「どういう感じよ…」
呆れた顔を見せられる
恐らく凡次も自分に呆れている
踏み込まれた土の道を5人は歩く
しばらく歩いていると、ガルドがある店の前で止まった。
酒蔵のような建物で、入り口から中が見える、随分と開放的な構造で入口から空が見える
「ここじゃ」
「お前さんの冒険者登録をする」
「冒険者登録?」
「詳しいことは嬢さんが話してくれる」
「大丈夫、私が横で見てるから」
(保護者かな?)
建物の中に入ると両端に蛇口付の酒樽が一列に並べられており、いかにも冒険者という風貌の人々が酒樽の蛇口を捻って自身のコップを満たしている
(ファンタジーだなぁ)
プルエルが先導して奥へ真っ直ぐ進み、受付席のようなところに着く
「冒険者登録お願いできる?」
「はい、ではこちらの書類をお書き下さい」
「じゃあ、ここからは凡次ね」
(保護者かな?)
受付嬢の方もそう思っているだろう
書類に書く内容は少なく、名前を書くだけで終わり冒険者についての説明をもらった
「では、冒険者についての説明をさせていただきます」
「冒険者は主に我々ギルドからのクエストを受けていただくのが仕事です」
「そして、クエストをこなした数や難易度などで冒険者のランクが上がります」
「ランクは5つに分かれており下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンドとなっており、新規の登録者は一律ブロンズからのスタートとなります」
「ランクによって受けられるクエストやクエストの報酬なども変わりますので、是非ダイヤモンドランクを目指して頑張ってください!」
(自直で捻りのないテンプレ具合だなぁ)
「では、少々お待ちください」
受付嬢はそう言いうとカウンターの奥へ消えた
(恐らくここでスキルとかステータスが分かる水晶とかが出てくるんだろうな)
(まぁ僕のステータスはどうせ平均として、固有スキルは強いものであってくれ)
そうこう凡次が考えを巡らせていると、奥から受付嬢が皮袋に包まれた何かを引っ張ってきた
皮袋に包まれた何かは水晶のような丸い形ではなくドア型の大きい何かだった
(やばい…この世界に来てからやばい目に何回かあったけど、これも多分結構やばい)
「お待たせしましたぁ…ハァ」
受付嬢は息切れしておりかなり重いことが分かる
「こ、こちら」
受付嬢が何かについている皮袋を勢いよく外して現れたのは
「こちらステータスなどを測れる機械、その名も」
「あなたが大体わかる!アイアンメイデンちゃんmark.3です!」
(ここ捻らなくてもいいだろ!!)