凡人と仕事
凡次は城内の宿舎までセトリアに案内され、宿舎の三階にある個人部屋へ入る
流石に王の側近という立場もあってか中はかなり豪華な内装で、寝心地よさそうな綿の詰まって膨らんだ四角が目立つ布団の乗ったベッドにまず目を引かれた
「随分いい部屋ですね」
「当たり前だ、我の側近なのだから」
セトリアは少し鼻を高くしながら言葉を返す
「ついでだ、凡次には今後の予定を言っておこう」
「ありがとうございます」
「主らには2月の間、訓練での指南役を中心に過ごしてもらう」
凡次は聞き逃しそうな言葉を脳内で反芻する
「指南役ですか………僕が!!?」
すると違和感に気づいたのか大声を上げた
「何か問題か?」
「いや僕が指南っていうのはあまりにも柄じゃないっていうより分不相応っていうか」
「先までの勢いは何処へと…、まぁよい、凡次がそう言うのであらば仕事を変えよう」
「すいません…」
「他の王剣達の仕事に加われ、指南役の担当と被らないよう指示する故、指示まで部屋にて待て」
「分かりました」
「最後に、一月跨いで半月と十四日後に王騎士祭という祭りが開かれる。そこで十二の王剣には我の護衛を担ってもらう」
「話は以上だ、明日に備えて休眠を取れ」
「はい」
セトリアは扉を閉めて、豪華な部屋に凡次が一人佇む
凡次は無言でベッドへ近づき、布団へ飛び込み愛人のように抱きしめる
顔をゴロゴロ転がし良質な布団をこれでもかと堪能する
「これは、良い!前の世界でも中々味わえない抱き心地だ~」
実に一年ぶりの良い寝具で就寝をすることに感動を覚える23歳は、年甲斐もなく布団の上で燥いでいる
「…十二の王剣入ろうかな」
真剣な顔で自分の目的を忘れてふざけたことを抜かす
「あーでも魔王討伐がな……、保留できるかな」
「出来ないよな、王令だもんな、でも断ることも出来ないよな」
「俺が断ったらセトリアさんが王座から降りるって話、セトリアさんが王様を辞めたいなら話は別だけど、そうじゃないだろうし断れないよなぁ」
そんなこんなで考え事をしていると瞼に重力がかかってしまい、眠りについた
***
「起きたまえ!凡次君!!」
激しいモーニングコールのノックで凡次が目を覚ます
「はい、なんですか?」
寝ぼけながら応答を返すと扉が開き、現れたのはフルアーマーのタルトル・ウェイン
「今日は小臣の仕事に付き合ってもらうぞ!」
寝起きで回らない頭のせいで間が大分空く
状況を理解し、薄目の凡次はタルトルに質問する
「…えっと……仕事の内容はなんですか…?」
「魔物退治だ!」




