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凡人の魔王の倒し方  作者: 昨日の駄文メーカー
凡人と騎士の国
33/36

凡人と騎士王3

凡人と少女は街並みを歩いて巡る、少女は民に正体を隠すように、凡次から貸してもらったローブを纏って、控えめな態度で街を歩く


最初、少女は何故王宮の外へ?と、疑問に思っていたが、凡次に取り敢えず行きましょうと言われて、街へ繰り出した


「しかし、街とは見ない内に変わるものだな」


「本当そうですね、いつの間にか老店が潰れてたり、ファミレスが新装リニューアルしたり、空き地にマンションとか家が建ったり」


「ファミレスか、飢島に聞いたことがあるぞ、何でも、家族で楽しむことができる庶民的なレストランとな」


「えぇ、そうです。サ◯ゼにガ◯ト、僕はび◯くりド◯キー派ですけど」


「色々あるのだな…」


「えぇ、でもファミレスでも本当にビ◯◯ボーイはやめ…」


「よし武器屋だ!入らないか?!」


話が長くなりそうなのを察知して、咄嗟に話を逸らす


「良いですね、行きましょう」


凡次もまた正気に戻り、武器屋の扉を開ける


入店を知らせる鈴の音が鳴り、店主がいらっしゃいと元気の良い歓迎の声が耳に入る


中の武器はカテゴリごとに分けられ、武器が値札と共に立てかけられている


凡次が立てかけられた武器達を見ていくと、随分と見覚えのある黒色のカーボン素材が目に映る、そう、アサルトライフルだ


「世界観ガン無視…」


「それは科学の国からの輸入品だな、希少故に値段も張る」


値札に凡次が目を向けると500万ニットと書かれていた


「それに加えてそれは弾という物も必要なのだろう?」


「初期費用も維持費用も高すぎるから、主な用途は観賞用だな」


「もったいない…」


一通り店を見回って、凡次は暗器代わりの通常より一回り小さいナイフを十本ほど購入し、退店の鈴を鳴らした


それから凡次達は様々な店を見て回り、疲れたのか 夕焼けが差す幅がある花壇に腰掛ける


「…そろそろ聞かせてくれぬか?我を王宮の外へ連れ出した訳を」


…………


凡次は暫く言葉を考え込んで、口を開く


「…あなたが王宮の外に出たことがないと言った時、その顔が昔嫌という程見た人間に似てたんです」


「それは本当に何もなくて、空っぽで、虚しくて、人として生きているのか分かりませんでした」


「だから、あなたには生きて欲しかったんです」


「これは、大人で在るなら、在ろうとするなら、やらなければいけない義務なんです」


凡次は自分に言い聞かせるよう口を動かし、目の前の少女へ刻々と考えを述べる


「…とまぁ、偉そうに御託を並べさせてもらいましたが、こんなの建前です」


「本当はあなたの笑顔が見たかったんです」


「少なくとも、悲しい顔は見たくない」


少女は口を噤んで凡次の顔を見据え、威厳を含んだ端正な顔を真っ直ぐ向けて話し出す


「最初に、我のことはセトリアと呼べ」


「次に、そなたが我を心配してくれるのは嬉しいが、王とは辛酸を舐める人間を指す、笑顔などしている暇は無い、だが悲しい顔は控えよう」


「気が済んだのなら帰るぞ」


セトリアは花壇を立ち上がり、すたすたと歩いて凡次の視界に背中を映す


「……分かりました」


花壇を立ち上がり城へと戻る二人の道中にて、凡次は密かにセトリアへの思いを募らせる


思いの内は恋や憐憫、哀れみではない


王として生き、王として死ぬであろう少女の人生を、否定も肯定もせず、ただ少しでも気楽に生きて、笑ってほしいという願いの思いを募らせていた


「王様…いや、セトリアさん」


「あなたを笑顔にする。やっぱり、これだけは譲れません」


「くどい、王たる我に同情をするなど、己の立場を弁えて物を言え」    


少し眉間に眉を寄せ合って、王として言葉を呈する


凡次はそれを見て一切の怯みなく、言葉を返す


「……今日、考えたんです。なんで出会ったばかりのセトリアさんに、こんな偽善ぶった思いを抱いてしまったのか」


「確かに、僕はセトリアさんの境遇に自分を重ねて同情しているかもしれません。でも、それが全てじゃない」


「多分、いや…絶対な事が一つ」


「貴方が少女の顔を浮かべていた」


「だから、笑顔にしたいと思ってしまった」


「これの理由はどれだけ考えても分かりません。偽善だと分かっていますし、正しくないとも、おかしいことだとも分かっています」


「それでも笑顔にしたいと思って、悲しい顔はしてほしくないと思ってしまったから」


「何度でも言いますし、絶対に諦めません」


「誰にも邪魔はさせませんし、させる気もないです」


「思ってしまったから、やらないといけないんです」 


「思ったからこそ、やらないといけないんです」


「大人としてではなく、一人の人として」


「僕は、貴方を笑顔にする」


言葉を聞いたセトリアは王の顔のまま、再度目前の一人に声をかける


今度は無礼を戒めるために口を開くのではなく、信念を認めて口を開く


「それが貴様の忠道なら、否定はしない」


「そして肯定もしない」


「故に励め、我を生娘に戻してみろ」


認められた凡次と、認めたセトリアの二人は肩を並べ、帰路を歩いていった

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