凡人と十二の王剣
「では後は頼む、ダスケル」
「はっ!」
中から厳かな顔に深い皺を刻んだ男が現れる、髪色は凡次達に因縁が出来た魔法使いと同じ空を海で割った色、差し詰め親子という所だろう、杖を持って足首まで伸びたローブは正しく魔法使いで、そんな男は凡次達を手招きする
謁見の間を出て城の裏手へ回る、闘技場のような建造物が五角形になるよう建てられて、その中心に闘技場の中を見渡せる高さの彩飾豪華な塔を構えている
「この塔の頂上にお前らがこれから会う奴等がいる」
「名を十二の王剣、剣にしか能の無い分不相応な集団だ」
魔法使いは凡次らに挑発をかけるように発言をして様子を伺っているのを見ると、息子と違ってかなり陰湿な質と見える
「そうか、てめぇは浅く広くで羨ましいぜ」
源蔵は挑発に対して挑発を乗せた、ハンバーガーを作るように、トマトにキャベツを乗せてジャンクフードを作ったのだ
「これだから田舎者はいけ好かない、謙遜を怠り心の内を構わず吐露する」
負け惜しみを吐く魔法使いは塔の中の転移陣を起動させて、凡次達を最上階へと送り出す
送り出された先に見えたものは、ガラス張りの丸い構造の部屋に十三人座れる程度の円卓が置かれ、奥には玉座が置かれてあそこに座れば打首ないし懲役だろう、他の十席には剣客の相を持った面々が顔を並べ、転移陣を囲う造りから出て手前の二席に座れと言わんばかりの雰囲気を醸し出す
「やぁ、いらっしゃい」
フランクに話しかける男はフルアーマーで素顔が見えない、他にも少年が二人、一人を挟むように座る女性二人、他にもやり手の気のある濃いメンツがいる
「なんで四人いるんだ?」
「先程王宮内を覗き見した所、二席に二人入るとのことです」
「はぁ?!んじゃどやって座んだよ」
「そこですか…普通例外的な措置に驚くものですが、それより普通では無いことが起きているので些事ですかね……」
「あ?何、なんか起きてんのけ?」
「そりゃもう大変な事が、貴方の姉様がこの四人を服従出来なかったら王位を降りると仰ってます」
「ハハ!姉貴イカれてんな!」
「随分他人事ですね、貴方の姉様のことなのに」
「でもよ、それ姉貴が服従されられなかったらの場合だろ?なら問題ねぇよ」
知的な振る舞いの騎士と対照的な雰囲気をしている豪快な女性の会話にγが待ったをかける
「あの方女性なんですか?」
「えぇそうです。極秘事項ですが、あなたも王に密接に関わる身として知っておきなさい」
「っと、噂をすればですか」
騎士王と魔法使いが凡次達の後ろに転移してくる
「おいそこを退け、王のお見えだ」
騎士達は一斉に立ち上がり右手を左胸に添え頭を軽く下げ目を閉じる、凡次達は転移陣を囲う造りの壁に沿うと、王は円卓を右に回って玉座につく、魔法使いは王の側に立つと杖先を上げ床を叩く、騎士達は礼を解き席に座る
「凡次らよ、席へつけ」
凡次は席の数を見る、仲間の人数を見る、釣り合いは取れず二人は余る、王は試している、四人がどう出るかを
(………どうやって座ろう…)
凡次が困り果てていると、先程の豪快な女傑が凡次らに声をかける
「しょうがねぇなぁ、俺の席座れ、妖精が座るんだったら俺の肩な」
女傑と会話を交わした男性は呆れて溜息を着く
「少し、静かにしましょう…」
「あ?なんでだよ」
「いいから」
凡次は困り果てる、座り方は何通りか思い付いているがそれでいいのか迷っている、その折γが口を出す
「私は騎士様の膝の上で、プルエルは凡次の肩ね」
源蔵は席についた、γは源蔵の膝の上に乗った、残る凡次も席についてプルエルが肩に乗る
「なんか、仲いいな」
女傑の一言で空気がほぐされる
「次から僕も兄さんの膝の上でいいですか?」
金髪の少年は騎士王に尋ねる
「別に構わないが、ダルクの方は…」
「…やめろシャンヒ、あぁいうのは恋人か体格の離れた奴同士でやるもんだ」
「ギャー!騎士様!私達恋人ですって!やっぱり傍から見てもお似合いということです!」
「…………」
源蔵は喋らない、先程まで威勢良く王に話しかけた口は凍りつき、燥いだ目も乾ききってしまっていた
「幼女趣味か……」
「ちげぇよ…」
「ッ、」
魔法使いが面を下げる、王への暴言よりも弱った源蔵の姿が無様すぎて笑ってしまったのだ
「貴様、王への、ブッ!侮辱、許さん、ぞ…」
震える声を抑えて魔法使いは源蔵になんとか叱りを入れる
「まぁ元気出せよ、ロリコン」




