凡人と馬2
それから源蔵は馬小屋の中の馬を舐め尽くすように見る、燃えている馬や、水で出来ている馬、植物で出来ている馬、小さくなった龍など、最早馬要素のない生物も散見された
「お客様、お気に召す馬はいらっしゃいましたか?」
「全部気に入った」
「店主、この店で一番安い希少種の馬はなんだ?」
「鋼鉄馬です。金属の体を持つ馬で体力や耐久力に優れており、寒熱に強いため何処でも活躍できる優秀な馬でございます」
「お値段は本来500万ユニットなのですが、特別に450万ユニットに値下げしましょう」
源蔵は真剣な目でプルエルを見つめる
「分かってるとは思うけど、これだけは言うわ、絶対買わないわよ」
「凄く我儘を言ってることは分かる、だが頼む!」
「私たちの所持金は三人合わせて400万ユニット、あんた個人の金は200万ユニット」
「そもそもお金がないから諦めなさい」
「…分かった」
「そう、じゃあ普通の馬を…」
「俺の所持金が200万ユニット、店主の出した金額が450万ユニット」
「つまり、俺が250万ユニット稼げばいいんだろ?」
「却下よ、どれだけ時間がかかると思ってるの、そもそも旅の時間を短縮する為に馬を買うのに、その馬を買うために時間をかけてどうするのよ」
「だが普通の馬では死亡リスクが高い、もし死んだら金の無駄になる上、その先馬無しで行くことになる」
「その点この馬は聞いた限りじゃ死ぬリスクも少ないし、250万ユニット程度なら5ヶ月で稼げるし、この馬を買えば旅の時間は5ヶ月以上確実に短縮できる」
源蔵の反論にプルエルは頭を抱えて悩み込む
「…4ヶ月で稼ぎなさい」
「おい童っぱ!冒険者ギルドまで案内しろ!」
「え、うん…」
「店主!その馬取り置きしといてくれよ!」
源蔵はシーシャと風のように去る
「取り置きって値引きされた状態でするもんじゃないでしょ…」
「当店は大丈夫でございますよ」
「すいません…ありがとうございます」
「よかったら他の馬も見てらっしゃいますか?」
「そうね、色々興味深い馬が沢山いるし見ていこうかしら」
「凡次はどうするの?」
「源蔵さんに振り回されてるシーシャちゃんが気になるので、僕はここで」
「そう、じゃあさっきの城門で待ち合わせしましょう」
「はい」
凡次は杖を取る
「生命の元を照らす光よ、彼の者の光を指し示せ」
【炎魔法:火命の道標】
凡次は魔法で源蔵の位置へと続く光を追う
「あの方、魔法使いなのですね」
「えぇ、同時に剣士でもある魔剣士よ」




