話し合いをする三人
「病院?確か…」
頭の中の記憶を辿る
「あ、起きた」
「プルエルさん…そうか、勝ったんだ、俺」
「えぇ、ボロボロだったけれど」
「いや、プルエルさん達が助けてくれるしいいかって」
「その危険な思考、捨てなさいよ」
「すいません…」
「まぁいいわ、あと少し経ったら魔法研究所に行くけど大丈夫?」
「全然大丈夫です」
「あの、助けてくれてありがとうございます」
「え?お礼…あぁ、どういたしまして?」
プルエルは困惑したような照れ隠しのような、難しい表情を浮かべる
「いや、そんなことは置いといて、どうやって蒼龍を倒したのか、教えてくれる?」
「はい、確か時間が止まったかと思ったらb.mノートが…」
「b.mノート…」
「あ!思い出した!あれ何なんですか?」
「…そうね、言葉を選ばず言うなら過去の残滓、燃え尽きず残してしまった物かしら」
重く、息苦しく放たれた言葉には、後悔と義務感のようなものが乗せられていた
「?」
「いいのよ、その内理解できる」
「それより話の続きよ」
「…b.mノートの殺せば勝ちって書かれたページが開かれて、それで自分が色々考えすぎちゃってたのに気づいて、そこからは無我夢中というか、目の前の龍を倒すことだけに集中してたらいつの間にか」
「ありがとう、大体わかったわ」
「本当、成長したわね」
「…!ありごとうございます」
***
「…刻限まで後一刻と」
源蔵は起床する
そこは、道場へと続く山道の麓の川近くに建てられた小屋、その中の敷布団から源蔵は立ち上がる、源蔵の起きてからのルーティンは決まっている
起きて最初にやることは、龍の国の名匠に特注した茶碗で茶を嗜むこと、木尻に薪を入れ保存していた種火を起こし、川へ水を汲みに行く、小屋へ戻り鉤棒にやかんをひっかける、茶道具をセットし、湯が沸くまで座して待つ、湯が沸き蓋を開け、柄杓で湯を汲み茶筅を通す、建水に湯を捨て茶巾で椀を拭く、棗の蓋を取り茶杓で椀に抹茶を2匙入れる、柄杓で再び湯を汲み、茶筅でお茶を当てる、茶道具を元の位置に戻す
茶碗を取り上げ、軽く回してようやく茶を嗜む
ふぅ、と一息をつく
(集合場所は確か魔法研究所の講義室1)
(道場に行く時間は…ないな)
二口目を飲む
(龍の国を出る、か…この名器達ともお別れになる)
(エルはどうせ持ってくれないだろしな)
三口目を飲む
(いや、一応持っていこう…)
四口目を飲む
(凡次…一年前とは見違えた、だがまだまだ粗が目立つ、魔王の所に着くまでに削り切れれば良いが)
最後の一口でズッと音を立て吸いきる、椀に湯を入れ、茶筅を通し片づける
風呂敷を敷き中に火薬や暗器、金銭、刀、茶道具を入れ、包む
小屋の中を一通り見触りし、思い出に耽る
刻限が四半時を切ると、風呂敷を抱え小屋を出る
最後に小屋を少し見て森の闇へと消える
***
「よぉ」
「よぉ、じゃないわよこのドアホ、三十分遅刻よ」
「すまん、ギルドを横切るときにガルドに飲み誘われてな」
「人と待ち合わせしてるのに飲み行くんじゃないわよ」
「いや俺も断ろうと思ったんだが、奢りだったから」
プルエルの目つきが鋭くなる
「待て、言いたいことは分かる、だが待て」
「ガルドが凡次に渡したいもんがあるらしい、ミョルニルで待ってるとよ」
「渡したいもの?」
「武器か防具か或いは両方、もしかしたら魔法書かもな」
「分かったわ、これが終わったら行きましょう」
「じゃ、本題に移ってくれ」
「本当シバきたい」
…
地図を広げ、プルエルが龍の国と思われる場所に指をさす
「まず、此処、龍の国ことムスビ・アカマルから騎士の国ディグウン、運命の国クロー・トロポス、愛の国ラヴィット、人喰い国ローラ・マリー、機械の国オート・メカロニア、聖陽王国、水の国マルロから船を使ってファラオル大陸、不凍の越平を越えて魔王城って道筋で行くわ」
「ちなみに騎士の国までは転移陣を使って移動、今日の10時に転移陣が発動するよう仕掛けてあるわ」
「騎士の国以降は転移陣があったら使わさせて貰うって方針よ」
「何か意見か質問は?」
「人喰い国はやめときましょう」
「迂回すると2年浪費するから却下」
「畜生!」
源蔵が手を上げる
「何かしら?」
「風呂敷持ってくんない?」
「中身の茶道具捨てたら考えるわ」
「畜生!」
「他に意見がないならこれで行くけど」
凡次と源蔵がショックで机に突っ伏している
「…はぁ、分かった風呂敷持つわよ」
源蔵の顔が明るくなる
「人喰い国はまぁ、別に凄い危険ってわけでもないし、私たちもついてるから」
「ならまぁ」
「本題終わったしミョルニル行くか」
「あんたらねぇ…」




