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凡人と絶対絶命

(分断されたことまでは分かる)


(けど霧で相手が視認できな…)


唐突に霧の中からナイフが投げられる


凡次に向かって投げられたナイフを咄嗟に自前のクナイで弾く


(ナイフ?相手は人間?)


(こんな所に?)

 

(とにかく待ちに徹してても埒が明かない)


【抜刀:霧散晴天】 


凡次は源蔵と同じ構えをとって技を放つが、源蔵のそれには遠く及ばず、周りの霧を少し切り払う程度だった


(少しでも視認性は上がった。これなら)


刀から杖に持ち替える


「生命の元を照らす明かりよ、彼の者の光を指し示せ」


【炎魔法:火命の道標(ディテクション)


光が照らす道が出来、その方向を凡次が見る


映ったのは、ナイフを構えたオークで、凡次の喉元を掻っ切ろうとしていた


「くっ!」


杖でナイフを防ぎ後退する


(魔法は使えない…なら!)


刀に持ち替え居合の構えをとる


【居合:雨疾候】


オークに向かって素早く刀を振るうも、居合は空を切る


(隠れられたか)


凡次はベルトのポケットからまきびしと信号弾を取り出し、自分を囲うようにまきびしを地面へ撒き、信号弾を空へ打ち上げる、続けて刀を鞘にしまい構えをとる


(相手はオーク)


投げられるナイフを切り落す


(まずい、このまま霧の中からナイフを投げられ続けられたらいつか捌けなくなる)


(かといって下手に動いたら殺される)


(どうしたものか…)


今回はナイフが十本同時に投げられる


(複数本!しかも距離がバラバラ)


七本は切り落せたが三本は凡次の体に突き刺さる


オークが一気に距離を詰めようと飛び掛かる


「チッ」


オークのナイフを刀で受け止めるも、衝撃で凡次は倒れ込み、まきびしが背中に刺さる


「痛ってぇ!」


倒れた凡次にオークは地に足を付け、体重を掛けて刀をナイフで押し込み、今にも刀を折って首を切ろうとしていた


「クソッ!」


「俺はまだ死ねないのに!死んじゃいけないのに!」


凡次の言葉とは裏腹に刀には徐々にひびが入る


勝利を確信してひたすら醜い顔を浮かべる目の前のオークに為す術もなく殺されることに、凡次はひたすら無力感に覆われ、悔しさを顔に浮かべていた


「…なんちゃって」


その瞬間凡次の上のオークが何かの爪によって吹っ飛ばされ、木に叩きつけられる


オークが吹っ飛ばされ開けた凡次の視界に映ったのは、助けに来た仲間の姿ではなく


いるだけで失神してしまいそうな威圧感に、二つの立派な角を携え、大蛇のような胴体に蒼の鱗がぎっしり生え揃い、掴めば何もかも砕いてしまいそうな隆々とした手足、異常に発達した犬歯は口からはみ出て頬をなでるように生えていて


そして、獲物を見つけたようなギラついた眼でこちらを見つめる龍の姿だった


「外れクジかよ…」

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