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夢の中  作者: ツチノコ
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第2話 私は空間

あの人今何してるんだろう?

あ、映画を見始めた。さっきまで音楽聞いてなかった?


いつも、しょぱん??っていうやつを聞いてるらしいんだけど、私にとってはただの波にしか感じない。彼は私の中で情熱を燃やしているけれど、彼は私に気づいていないみたい。だけど私はそれでいいの。いつか気づいてもらえなくても、それでも彼が私の中に居て、そして楽しそうにしているところを感じ取れるだけでいいの。


彼はいつも、彼といつも一緒に居る女の人が戻ってくるまで、とても楽しそうにしてる。なぜだろう?彼と一緒に居る女の人が帰ってきた後は、とても縮こまっているみたい。私は、彼の周りにしかいることができないから、どうにもすることはできないけれど、あの女の人は悪い人なのかな?って思い始めたの。でもきっと違うんだろうね。だって彼は、あの女の人の前ではとても落ち着いていて、怒りは感じないもの。


私はいつもどこかにいるしかない。しかしどこに居たっていいの。だから彼のところにいる。彼は、ものすごく黒い、渦巻みたいなものを持っているから、とても魅力を感じたの。ほかの人たちは、灰色で中途半端で先が見えちゃうからつまらないの。彼は、とても美しい感性と、底知れない発展性をもっているからこそ、彼の近くにいることは幸せに思うの。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


彼とは昔、仲良く喋っていたの。いつも行っている「ようちえん」っていうところの面白い話を教えてくれた。

友達とずっと泥団子を作っていたこと。かけっこで一番になったこと。強気な女の子に鉛筆を取られたこと。


だけど、それも春が四回くらい巡ったら、喋ってこなくなっちゃった。だから、何回も話しかけたんだけど、そのうちに私のほうがむなしくなってきちゃって、それで、あまり近づかずに見守ることにしたの。そうすると、彼は話さなくなっただけで、いままでの感性とかいろんなことを失っていないってことに気づいた。だから彼のそばにずっといるの。それは守りたいからじゃなくて、見ているととても面白いから。すべりだいみたいに、のぼって、すべって、すごく面白いから彼のことをずっと見ているの。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


彼は、今日は映画を熱心に見ていたようね。私は映画はよくわからないけれど、彼のこころは、大きなすべりだいを笑顔ですべって、その先で転んで、泣いて、そしてまたすべりだいの上へ、登っているようだった。今日も彼はとても素敵。そして、彼はとても伸びていってる。

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