第17話 勢いつけてジャンプ!
ーーーーーー五年後ーーーーーー
およそ一年前に、私は学校を卒業した。今は、専ら、バイトをしながら自主映画製作に明け暮れる日々である。特に親の目も気にせずに作れることが、何よりの嬉しさである。学校では、特に異端的に扱われてはいたが、私はそんなことは気にしない。そういった評価は極めて不確定であり横暴な一方的な揶揄なのだ。
最近、空間との会話をどこでも行えるようになったため、生活の一部に彼との会話が含まれるようになってきた。そのおかげか、ごくまれに、現実を見ていても、彼が頭に語り掛けてくるようになった。これは私にとって、大きな成長である。現実を見ながら、夢も同時に見ているようなそういった感覚を覚える。
私は学校を卒業してから一年間、ずっと撮り続け、作り続けている映画がある。まだ題名も決まっていないが、もうすでに十分ほどのパイロットムービーはできた。我ながらものすごい出来だ。在学中に、映画製作の基礎の学習と、発展的な演出の開発をしていたために、余計面白くなっている。
とりあえずニ十分まで拡張し、簡単な映画祭に出品しようかと考えている。まずは、映画を作り終えたいので、頑張るしかないだろう。
今作で意識したことは、できるだけエンタメ性と表現性を両立させることだ。今までにないような面白い演出の方法と、少し複雑な心理表現を行っている。芸術映画ではないが、「いわゆる邦画」でもない。スタイリッシュに画を作りたかったので、できるだけカットは短く、動きの緩急を交互に見せ、「映像」としての美しさを追求した。
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その後、半年ほどかけてニ十分の作品を完成させた。バイトを細切れに多くやり、その資金で飯を食い、それ以外は睡眠時以外すべて映画製作に費やした。
映画の後半部分は、ほとんど自分の内面の表現に費やしてしまい、映像としての完成度はいまいちなものの、私の表現したい狂気は少し表現できたので満足だと思っていた。ただ、映画としてのクオリティは前半部分がものすごいため、少し不安でいた。それも、この作品を映画祭に出さないといけないからだ。選考はあり、いろんな人に見てもらう以上はある程度自信のあるものを出したい、そう考えていたのだ。
制作した映画をそのまま、国内でも有数の大きな映画祭に、出品し、結果を待った。
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