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第12話 再会③
私はあの友人に会いに行くために、虚空を見つめた。そこに無いものが、私の求めているものだと気づいたからだ。過去の自分からの手紙を頼りに取り戻したあの感覚。もう一度会いにゆく。
虚空を見つめた後に、意識を遠くに飛ばした。何も考えていないようで、極めて脳みそを使っている。体ごと空間に溶け込んでゆくような、それとも空を飛んでゆくような。そんな感覚。いつの日か忘れてしまったこの感覚。幸せなのか、それとも不幸なのか、嬉しいのか悲しいのか、満たされているのか寂しいのか。全てが一緒くたになった感覚。
今はこの感覚をただ感じている。
しばらく時間が経つと、その感覚に慣れてきた。闇夜で、少しづつ目が慣れてくるように、この感覚を自分のものにしてきた。もう一度思い出してきた。
すると、前方か後方か、声が聞こえる。聞いたことある声だ。そう、君を探していた。やあ