第27話 準備期間後編
プッツン――
「あきくんはどうでも良い人間と誰でもキスする。ビッチなんだ!あのときのことは――」
キレた二宮さんの剣幕は凄かった。
「あっち行こうか、二宮さん」
クラス内でこれはまずい。手を引いて、外に連れていく。
「うわあああああああああん」
彼女を連れていく途中泣きながら走り始めて手が離れる。
「あきくん、顔可愛いけどやることエグいんだね」
「あき‥‥‥おまえなにしたんだ?」
「青春だねー」
「リア充くん、涅槃が空いてるけど入る?」
準備中のクラスの内で、いまの話が聞かれる。クラスの人間の冷ややかな視線が刺さる。
「なんか、勘違いしてるけど違うから!」
そんな言い訳じみた言葉をクラスに残して彼女を追いかける。
‥‥‥彼女のことをどうすればいいのかあまりわからない。でも、原因作ったの僕なのかな?いや、でもキスをしたのは二宮さんだし。
「二宮さん!」
廊下で追いつき彼女の手を捕まえると、一応の彼女ーー早乙女先輩と出くわす。
「おいおい、あき‥‥‥おまえなにしたんだ?」
現彼女のややこしい人が来た。
「早乙女先輩!あの相談に乗ってくれますか?」
「うん!とりあえず相手をボコってやるからな!なにがあったか私に言ってみ?」
泣き始めた二宮さんに、優しく声をかける早乙女先輩。
「えっぐ‥‥‥うー。あきが勝手に彼女作りました‥‥‥」
「え?」
早乙女先輩から汗が出てる‥‥‥。おい、こっちを見るな。
「もしかしたら、彼女さんが無理やりあきくんをたぶらかしたかも知れない‥‥‥。彼女の方を許さなければ良いんですね?早乙女先輩!」
「いやいや!やっぱり、そういうのは良くないぞ!二宮!」
あれ?手のひらドリルになりました?あんたが彼女って言えない状況になったが、やっぱりクズだ。
「二宮少し待ってろ!こいつと話をつけてくる」
――――。
「おい、あき!あんなに可愛い同級生がいるのになんで私と付き合ったんだよ!」
「こんなふゆ姉の勝手で決められたことを僕の都合で二宮さんを巻き込めるか!」
「あ!おまえ、私なら適当に付き合っても良いと思ってるな!」
「思って……てるけど!そこまで適当には付き合わないわ!」
「あきくん!明日の文化祭付き合える?」
うわ!突然現れた二宮さんに今の話を聞かれてないか心配になる。二宮さんの顔を見る限り‥‥‥大丈夫そうだ。
「それはいい!彼女のことなんか忘れて明日はデートしなさい。それじゃ!」
そういって一応の彼女は逃げるように去る。うわー彼女の反面教師。
ということだし
「いいよ」
「よかったー。あきくん‥‥‥私が変態だから、付き合うのが嫌かと思った。美容室であきくんの髪の毛を集めて部屋で匂いを嗅いだり、あきくんの私物をちょいちょい盗んで、バレないように同じものを入れて誤魔化したり、他にも沢山のことをしたから嫌いになったのかと思った。あと、私のことを前みたいにさくらってちゃんと呼んでね?」
引くというより怖い。この人の本性を知ったのが良くないのかもしれない。