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ヤンデレとメンヘラの姉に愛されている  作者: てきとう
第三章 ゴールデンウィーク
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第12話 美容室

 ゴールデンウィークも半ば、扱い慣れていないスマホで二宮さんと委員会の電話をしていた。すると彼女の親御さんが経営している美容室への誘いがあり今日は来ている。




 二宮さんの親が経営する美容室は、駅前にあり立地は良く外観はとても綺麗だ。スタッフさんも何人もいるが、二宮さんの親が挨拶してくる。




「今日はよろしくね」




「同級生の夏樹あきです。今日はよろしくお願いします」




「なんて整った顔なの。カットのしがいがあるわ。ところでさくらの彼氏なの?」




「お母さん!!!夏樹くん、気にしないでね」




 笑って誤魔化す。濃い親だな‥‥‥と思う。




 そして、散髪が始まる。切り方は決めてくれるらしい。




 それから、数十分後――カットがあらかた終わり




「じゃあ、髪の毛を洗うから移動しましょうね」




「はい」




「お母さん、私が落ちた髪の毛を掃除するね」




 そういって、彼女はちりとりで掃除をする。




「あら、珍しい」




「たまにはね」




 そんな中、二宮さんの親が質問してくる。




「あきくんは、誰に髪をいつも切ってもらっているの?」




「姉が切りますね」




「やっぱり‥‥‥切り方が違うから思ったわ。それなら、定期的に私の美容室に来るといいわ」




「どのくらいの頻度ですか?」




「そーね。最低でも二ヶ月に一回、本当は一ヶ月に一回来て欲しいわね」




 今回は、お金が半額だから行けるけどそんなにお金がない。やはり、バイトしたいと思う。




 シャンプーが終わり、ドライヤーで乾かされ、散髪が終わるとスッキリする。




「ワックスする?」




「すいません、ワックスってなんですか?」




「あー、そうね。簡単に言うと、髪の毛をカッコよくセットするための道具かな」




 初めて知った、ワックスを頼んで髪の毛を立たせてそこから流すように髪の毛をセットしてくれる。セットのやり方も教わる。




 鏡を見ると、




「髪の毛が変わるだけで、結構変わるんですね」




 とある某漫画では、目のパーツは同じで髪の毛の形でキャラを判断するっという漫画もある。


 ようは、それだけ髪の毛が大事らしい。




「素材がいいからね、こんな肌が白くてキメが細やかなのいいわね。はい、終わり」




 二宮さんと初対面と同じことを言われる。美を必要とする仕事だから、感性として必要なのかもしれない。親がそうだと子も影響されるのかな。




 その後お金を支払い。店を出る。




 そして、店前で二宮さんと会話する。




「この後、用事ある?」




「特にないけど‥‥‥」




「じゃあ、買い物行かない?お勧めの場所があるんだ?」




 そういうと、二宮さんに連れられ、店に連れてかれる。




 ドンッドンッドンッ鈍器ー鈍器ーホーテ。そんな軽快なリズムが耳に残るお店に着く。




「これ、お勧めだよ」




 そう話すのは、林檎の匂いのワックスだった。そして、髪の毛が崩れないスプレーなどもお勧めされて買ってしまう。


 いつの間か彼女の手持ちにはお菓子でいっぱいの袋がある。




「本当はお勧めドライヤーとかもあるけどお姉さん持っているでしょ」




「うん、ある」




「美容室の子だから、そういうのは詳しいね」




「親がそうだとね。あとは成り行きでね。でも、本当に行きたい場所はここじゃないわよ」




「えっ?違うの?」




「こっちこっち」そう言って招かれる




 着いた場所は屋上だった。そこにはサッカーコートがあり、小学生らしき子供たちがサッカーの基礎練をしている。




 保護者席とは別に少し遠くにベンチがありそこに座る。そして、彼女が店で買った袋の中からお菓子を取り出す。




「はい」




 そういって渡してくれたのは、桜の形をしたお菓子だった。




「このさくらって‥‥‥ダジャレ?」




「ふふ」




「さくらさんって冗談とか言うんだね」




「あ、やっと私を名前で呼んでくれた。じゃあ、これからは私も名前であきくんって呼ぶからね」




 こんな少しのことで笑ってしまう、彼女は案外陽気なのかもしれない。




「サッカーか懐かしいな」




「あきくん、サッカーしていたの?」




「一応、中学までやっていた。小学校までは誰よりも上手い自信があったんだ。だけど中学で自分より上手い人が沢山居てレギュラーとか取れなくてね」




「へーそうなんだ」




「でも嫌になって辞めてしまった」




 我ながらこんな話恥ずかしい。高校では陸上部に入るなど未練がましく運動をしている。




「そっかー、お菓子食べる?」




 彼女の教室では見せない明るい性格に救われる。その後は、お菓子を食べ子どもたちのプレイを見ながらまったりした。





 彼女のかける眼鏡で見ている景色はサッカー少年ではなく、隣の夏樹あきばかりを見ていた。








 夕暮れ時――二宮さくらは満足した顔で家に帰る。




「今回は友達料金としてお金半分でいいけど、次は普通になるわよ。あと、髪の毛集めてどうするの?」




「秘密」




 ジップロックに入れて、匂いを嗅ぐとか、そんなことしないから‥‥‥。




 な、なによ。その疑った目は!

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