プロローグ
あっくんは私のもの、いや、あーくんは私のもの。
頻繁にこのような争いが子供の頃あった。
僕は好きな2人が喧嘩をしている光景を見て悲しくなった。
「大好きなはる姉とふゆ姉喧嘩しないで」
「あっくん」
「あーくん」
「そうね、私の方が先に大好きって言われたし、おとぎ話の王子さまみたいにあっくんが私の手の甲にキスして仲直りしよう」
それを聞いた、ふゆ姉が反応するように
「私はほっぺにしてねあーくん」
それに、反応したはる姉が
「なら、私は唇にしよう」
そんなこんなで、二人は見つめあって火花を散らした。
そして、また喧嘩を再開した。僕がそんな光景を見て泣き始めると二人は。
「あーくんごめんね、仲直りのキスをしよう」
「そうね、二人であっくんのほっぺにね」
そうして、僕を挟む形で二人は僕のほっぺにキスをした。
「これでいい?ふゆ」
「うん、大丈夫だよ。はるお姉ちゃん」
そう言って二人は笑顔になった。
そんな事を思い出しながら、僕は二人に挟まれて眠りについた。
それから数年後――。朝起きると、目の前には見知った寝顔があった。
それは、姉たちだった。右にははる姉、左にはふゆ姉がいた。
はる姉の寝息が耳にかかってくすぐったかった。ふゆ姉の甘い匂いが心地よかった。
僕は二人の頭を撫でた。すると二人が目を覚ました。
「おはよう、あーくん」
「おはよう、はる姉ふゆ姉なんでいるの?」
「いいじゃん。ゲームやり込んでて眠いし。あと5時間は寝る」
そういってふゆ姉は2度寝を試みるがはる姉は起こそうとしている。
当たり前の様に部屋にいる2人を横目に起き、僕は両親が準備してくれた朝食を3人で食べ学校に行く。
「いってきます」
「いってきま~す」
「いってきます」
3人元気よく言った。