紹介
皆様評価・ブクマや感想などなどありがとうございます。感極まって筆がすいすい進むような感覚です。
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「皆さん、はろばんちわ!紅咲アカです!」
赤﨑……今は紅咲さんと呼ぶか。彼女が配信始めの挨拶をする。俺はキャラ設定もあるし、初めてなのでまずは挨拶をせずに立つ。
『なんだ隣のやつ』
『例のカラス使いか?頭に乗せてるしw』
『不気味過ぎ』
『あれペストマスクじゃん』
様々なコメントが行き交う。また、彼女に対するコメントもそれなりにされていた。
「こちらの方は、今やネットで話題沸騰中で、私の命の恩人、『マスク』さんです!」
無言のまま小さく頭を下げる。
『マスク?』
『誰だよ草』
『身バレ回避にしてもガワやばいだろ』
それは確かにそう思う。
「そしてこの子が噂のカラス『コクウ』ちゃんです!」
『カァ!』
コクウが翼を広げて鳴く。
『マジでカラスだ』
『ちゃんと反応するんだな』
『かわヨ』
『カラスが頭良いってまじなんだな』
とまぁ俺に関するコメントは殆ど消え失せ、コクウに話題を掻っ攫われる。それが一番安全なんだから特に問題はない。
「さて、挨拶が終わった所で。私から謝罪をします。まず、高難度ダンジョンに、最低人数を守らず突入した事、本当に申し訳ありませんでした!」
バッと頭を下げる。そう、彼女はルールを無視してダンジョンに突入し、ピンチに陥ったのだ。
『まじでヒヤヒヤしたもんなアレ』
『違法かよww』
『命あって良かったね!』
『転移装置に引っかかったみたいだけど、アカちゃんでもわからなかったの?』(¥7,000)
高額のハイパーチャットが飛ぶ。
「うん、私索敵能力は高い方でしょ?でも全くわからなかったんだ」
『良かったなぁ』
『何階に飛んだんですか?』(¥5,000)
『なんで男とコラボしてんだよ帰れ』
『11階以降だよな?』
『男いらん、シね』
所々コメントが荒れているのがわかる。チラリと紅咲さんをみると、若干ながら表情に影を落としているのがわかる。
また、そんな荒らしのようなコメントに、自治しようとするメンツがコメントを返してしまい、少しずつ荒れていってしまっている。
俺はそんな中、ため息を吐きつつ、持っている杖の先で地面を突いた。凄まじい音と共に地響きまで起きる。
『な、なんの音?』
『画面揺れてたぜ?』
『マスクが地面叩いただけにしかみえなかったけど』
「……別段、文句を言うのは構わん。だが、私に関する事で誹謗中傷を彼女にするのはお門違いだ。するのであれば、私のコメントにしたまえ。私に対してであれば幾らでもしてくれて良い。私が開示請求をする事はしないと誓おう」
そこで俺は紅咲さんを見る。彼女も俺の行動に驚いているようだ。一つ咳払いをし、俺は更に続ける。
「さて、話を戻そう。何階に飛んだのか、という話だが。彼女が飛んだ先は40階だ」
『うわ、急に喋り出した』
『自分は誹謗中傷オッケーって、最初の配信で言うやつおるんか』
『は?40?』
『嘘だろww最高到達フロア10だからww』
「嘘か誠かは攻略していけばいずれ分かる話だ。最も、彼のモンスター、ケラピテイスは本来、更に深層にのみ出現するモンスターだ。40階に現れた理由はわからぬが、彼女が転送罠を見破れなかった事も含め、異常な事態である事は確かである」
そうして俺は紅咲を見た。彼女はハッとした顔でドローンの方を向いた。
「そして、今回私はマスクとのコラボ、という名のマスク用チュートリアルです。マスクは今まで配信をした事がないという事で、私の背中を見て育って貰おうという事です。因みに、これは会社からの指示です」
『ミヤプロがあんなダンジョンに一人で行かせるとは思わないしな』
『ペナルティか』
『ここからどんどん男コラボしちゃうのかなぁ』
「と、言うわけで!今回はそんな驚愕な事実だらけのマスクと一緒に、高難易度ダンジョンに潜ります!ここは推奨メンバー数4名ですが、最低人数は1名でも入れます!ここを今回、何とボスまで攻略しようという企画です!」
わーパチパチパチと紅咲さんが笑顔で拍手をする。
『どこ?』
『場所はわからんなぁ』
『4の1となると、都内だと片手で数えられるぐらいには絞れるな』
『カラス飼いたくなってきた』
「何時迄もここに居る訳にはいかないので、早速突入します!マスク、用意はいい?」
頷くと、彼女も応えるように頷いた。




