モンスターコア
引き続いてのランキング一桁!しかも週間ランキングでも一桁に入りました!ありがとうございます!これからのご期待に添えられるよう、出来る限り更新頻度を保ちつつ、頑張りたいと思います。
後、非常に申し訳ないと常々思っているのですが、誤字報告ありがとうございます。
指摘する文章を自分で指定する面倒な作業した頂いてしまっているのを大変申し訳なく思っています。
誤字多過ぎて笑えないくらいなので、自分で確認作業をちゃんとしなければいけないなと思いました。
少し歩くと、先程と同様にデュラハンが出現した。今度は大剣を所持している。
「デュラハン種は私からすればこれ以上にないカモだ」
指を向けると同時に黒い球体がデュラハンを包む。凄まじい潰れる音と共にデュラハンは圧壊し、消滅した。
「デュラハンは物理耐性が異常に高い反面、魔法耐性は低い。その上、体が金属であるため動きも鈍い。故に、私の敵ではない、という事だ。私からすれば、デュラハンもゴブリンも相違ない雑魚だ」
《デュラハンは最低限の魔法耐性あるはずなんですがそれは……》
《↑魔法耐性がある?じゃあ魔法で潰すわ》
《ぺちゃんこなんてレベルじゃねーぞ!》
《お?あれは?》
デュラハンが消滅した場所には青い菱形の結晶と、一本の剣が落ちていた。
《まじかよwww》
《一発ドロはやべぇ草》
《ドロップ運まであるんですか?》
デュラハンの騎士剣——剣士からすれば直ぐにでも使いたくなる程、名剣として世に知られている武器だ。ダンジョン産の武器として破格の性能を持ち、切れ味は抜群で、刃溢れもし辛い、リーチもそれなりに長く、対して重量はそこまででもないという優れ物。
ダンジョン攻略をメインとする上位クランでも現役の武器なのだ。
「ふむ、まぁ、この程度か」
《声色一つ変えねぇのかよwww》
《チャンネル登録解除しますありがとうございました》
やめて、待って。
《おい、アカちゃんがまたドン引きしてるww》
「……」
「……なんだね、紅咲」
「ドン引かせて頂いても?」
「勝手にしたまえ」
既にドン引きしてるだろ。
と言いつつ自分でもドン引きである。こんなにドロップ運良かったか?寧ろドロップ運良かった記憶あんまないんだが……。
高めの臨時収入に内心ウキウキしながらも態度は崩さない。ペストマスクがあって良かった。なかったらニヤニヤ顔がバレる所だった。
高難易度ダンジョンは二人でも潜れる。一番攻略されていると公表されているダンジョンも、数十階層まで踏破済みなのだ。
だがそれは非公式、というか公表してないだけである。一応人間は俺だけだし、公表した所で信憑性はなく。しかも俺自身余り目立ちたくない。
ギルドでも同じ事で、高い素材の物をドロップしても回収したまま売れないか、泣く泣く捨てざるを得なかったのだ。高い素材を持っていけばギルド内でも目立ってしまい、いつかは世間様にバレてしまう。
それは避けたかった。
だがマスクとして活動するからにはそうした事を気にする必要はない。手に入れた素材も、ミヤプロを通して安全に売る事が可能になった。なんなら朝霧さんが窓口にもなってくれているので、バレる心配も皆無に等しい。
そも、モンスターは素材をドロップする。死体のモンスターはすぐに粒子となって消えてしまい、代わりにドロップ品が落ちているのだ。
必ずドロップする菱形の水晶のような物、《モンスターコア》。一般的に《コア》と呼ばれており、これをモンスターの心臓として考えられている。
様々な分野に使われており、今ではコアを利用したクリーンなエネルギーが徐々にエネルギー資源としての割合を増やしていっている。
実を言うと、このスマホに取って代わった新時代の端末、《グノーシス》も、コアが使用されているらしい。
モンスターによってコアの特性にも差異があるらしく、グノーシスに使用されているコアはかなり希少価値が高い。
産出されるダンジョンも非常に少ないらしく、今の所確認されているのはアメリカ・中国、そして日本である。
日本には何故かダンジョンが多い。土地面積に対するダンジョンの数が他国に比べて異常な程に多い。
だがダンジョンとは、資源が有限で、しかも各国で奪い合いが発生している世界情勢を一変させた。
ダンジョンには無限の資源があるからだ。
最も、本当に無限かはわからない。石油と同じく、大量にあるだけでいつかは枯渇するかもしれない。それはダンジョンを創ったヤツにしかわからないだろう。
そして俺には、コアの使用の仕方がもう一つある。
「コクウ」
『カァ』
デュラハンのコアをコクウに投げ渡すと、コクウはそれを器用にクチバシでキャッチし、そして飲み込んだ。
「どうだ?」
『……カァ』
まぁまぁだな、とでも言いたげな程微妙な反応だった。しかし反応が良かったのはコクウではなく、周りだった。
「コア、食べたの……?」
「あぁ、言ってなかったか?」
「知らないよ!ドン引きし過ぎて東尋坊で背水の陣レベルなんですけど!」
崖っぷちって事?
「しかも鮒越さんもいるよ!」
なんで設定足したの?でも崖っぷち感は出るな確かに。
『コアww食べたww』
『うせやろ……』
『コアを……食ってる……』
『ここの切り抜き絶対バズるな』
確かに、動物がコアを食べるなんざ今までなかっただろうしな。そりゃバズるか。
『アカちゃん?もう君東尋坊の外まで行ってない?』
『おれは既に波に攫われてるよ』
『最近ドン引きするアカちゃんからしか摂取出来ない栄養素を発見した』
『↑上級者だな……』
「一つ、忠告しておく。これはコクウだから出来る芸当なのであって、普通の動物、まして人間が食っても消化など出来ん。絶対に食わせるなよ?」
最大限声色を低くドスの効いた感じを出す。
『ひぇっ……』
『当然だな』
『実際最初期に食って病院行ったやつもいるしね』
そう、当然ながら人間は探究心を抑えられない物で。コアを食った奴もいる。だがコアは全く消化されず、結局手術で取り除くハメになったという事件がある。
また、尻からコアを入れてみた……なんて珍事件もあったらしい、しかも複数。世の中色んな奴が居るんだなと感心すらした程。
「気を取り直して、先に進むとしよう」
「もう気なんて崖から落ちちゃったよ……」
何時まで崖に居るんだよ君は……と思いつつ、呟く紅咲さんを無視して俺は歩みを始めた。




