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デッドアイ

沢山の評価・ブクマ、いいね等ありがとうございます!皆様のお陰でなんと日刊ランキングで38位に登りました!モチベーションがオーバーフローしそうです


びっくりしました。アクセス数も爆上がりで、心臓と目玉が飛び出ました。

ちゃんと壁で跳ね返ってきたので事なきを得ましたが。


これからもどうぞ宜しくお願いします!

いつの世も犯罪は発生する。


盗みやポイ捨てなどの軽い物から、殺人や放火などの重い物まで様々。


行った理由は人によりけりだが、総じて犯罪であり、法により処罰されるべきである。


しかし、そんな法に背き、生き続け、勢力を伸ばし、やがて一大組織と成り果てる奴らもいる。


奴らが着ける指輪。金で装飾されており、ボウガンと一つ目があしらわれている。


組織の名をデッドアイ。国際的な犯罪組織であり、未だ本拠点となる国すら見つかっていない。様々な国で見かけるらしいが、その殆どは下っ端。支部の位置すらわからないという事で、潰せないままでいるらしい。


ただ……


射撃の名手(デッドアイ)って名前の割には、近接しか持ってないが)


持っているのは剣や斧など、標準的且つ低ランクの冒険者のようだ。顔だけは厳ついので揃えているみたいだけど。


「ん?なんだてめ……なんだお前!?」


凄く綺麗な二度見だった。まぁそうだろう。急に現れた奴がペストマスクを付けているのだから。俺でもそうする。


「怯える婦女を救いに来ただけの事よ」


「あぁ?コレを助けにきただぁ?ハッハッハ、おめでたい奴だ。こんなん助けて何になるんだよ!」


一人が笑うと、釣られて他も笑い出す。怯えている女性は、虚な目をしたまま震えているだけだった。目の焦点も合っていないように見える。


「……貴様ら、彼女にクスリでも盛ったのか?」


「あん?俺たちは盛っちゃいねぇよ、俺たちはな。……こいつはなぁ、支払いが出来なくなったのさ」


「支払い?」


「おクスリの支払いだよ。元々この女は碌でもねぇ奴でよぉ。クスリに手ぇ出してたのさ。勿論お代は体で賄ってんだ。だけど、とうとうお体の売れ行きも芳しくなくなって来たらしくてな?折角ツケにしてきてやってたのに、支払い出来なくなったと来たもんだ。なら、俺たちのやる事は一つ」


「始末か。彼女も……そして私も」


「ご明察。ああっと、逆らうだけ無駄だぜ?俺たちがどんな連中か、お前知ってるか?」


「デッドアイ、国際的な犯罪組織」


「正解だ、良く知ってるなぁお前。なら、逆らったらどうなるか分かってんだろ?俺は人間の殺し方ってのを熟知しててなぁ。皮を剥ぐのも好きだぜ?」


笑う彼らに対し、俺は分かりやすく溜め息を吐いた。


「弱い者の空威張り、とはこの事か」


「……あ?」


「貴様のような三下の弱者にはピッタリのセリフだと、感心すらしてしまったよ」


「……いいぜ、まずはテメェからだ。吐いた唾、飲み込むんじゃねぇぞ!」


一人の男が、剣を振り被りながら肉薄してくる。


「死ねぇぇっ!」


振り下ろされる剣。俺は素早く杖を薙ぎ、剣先を地面へと落とした。


「は……ブッ!?」


驚き、戸惑う男の横顔を杖で殴る。そのまま地面に倒れ込んだ男は、頬を押さえて悶絶した。



「い、痛え……なんだおま——」


男が言い切る前に杖を脳天に落とす。男は気を失い、力無く倒れた。


「仰いで唾を吐いたのは貴様らだ」


俺は瞬時に他の男に近づき、その胸部を杖先で突く。


「ガハッ!?」


男は呼吸がままならなくなり、膝を付いた。


「巫山戯んじゃねぇ!」


今度は二人掛かり、左右から詰めてくる。


その剣を杖頭と杖先で同時に受け止める。そして杖をそのまま手放すと、支えを失った男達は俺の方へと倒れ込む。


俺は左右の手をそれぞれの男の腹に当て、力を込める。


すると凄まじい勢いで二人の男は吹き飛んでいった。


足で杖を掬い上げて手に取る。俺は杖先を地面に叩き付けると、残りの一人へと視線をやった。


「ひっ……」


男は武器を離して地面にへたり込むと、そのまま俺に恐怖しながら後退りをし始めた。


「即刻この場から消え去りたまえ。気を失っている奴は貴様が運べ。そして二度と、この婦女に関わるな。良いな?」


「ひっ……は、はいぃ!」


男達は最初に気を失った一人を抱えると、その場から逃げ出した。


「あぁ、そうだ。一つ言っておこう。この場面はリアルタイムで配信されている。二度と表を歩けると思うなよ」


男達はブンブンと頭を振り、そのまま去っていった。こいつらを拘束するのも良いが、それよりはまずこの女性だ。最も……


(まともに反応出来るかはわからないな……)


女性はやはり目の焦点が合っていない。俺が目の前で連中を片付けたというのに、反応すらしない。


「マスクッ!」


「……紅﨑。この女性を頼む。警察は——」


「もう呼んであるよ、ダンジョンから出る頃には着いてると思う」


赤﨑さんは冷静だった。今彼女が冷静なのはこちらとしても有難い。赤﨑さんは女性に近づくと、ゆっくりとその手を取った。


「帰ろう?私達は貴女の味方だから安心して?」


赤﨑さんが優しい表情と声色で言うと、女性はゆっくりと赤﨑さんを見つめ、小さく頷いた。








………………







ダンジョンから脱出したデッドアイの男達は、人々の視線から逃れるように移動し、無事にアジトへと帰還していた。


街外れにある雑居ビル。ここにテナントは入っておらず、問い合わせの番号も誰も知らない。そんなビルの一室で、男達は治療をしていた。



「な、なんなんだよアイツ……意味わかんねぇよ!」


頭を強く叩かれた男は、包帯を頭に巻きながら頭痛に苦しんでいた。他に攻撃された男達も、未だに後遺症が残っていた。


「そうだ、買い出しに行ったアイツは——」


一人無事だった男は今買い出しに行っている。のだが、それにしては時間が経過していた。不思議に思っていると、不意に扉が開く。


「おう、やっと帰って——あ、貴方は……!?」


入ってきた男は、買い出しに行った男ではなかった。タバコを咥えており、男達の知り合いのようで、怪我をしているにも関わらず、男達は頭を地面に擦り付けた。


「申し訳ありません!変な奴に!変な奴に邪魔されて!」


「知ってるよ、全部」


「え?」


男は咥えていたタバコを吹かすと、窓から外を見る。


「いやァ、外は禁煙分煙だらけ。最近は窓開けて吸うのもままならねェ。世の中、お堅過ぎるよなァ?」


「あ、あの……」


「そもそもさ」


ゆっくりとした歩調で男達の方へ歩く。部屋には緊張が走り、男の靴音だけが部屋に響き渡る。


「ハナからお前達に期待しちャいねェのよ」


「え……」


「とはいえ、女の処分まではやって貰いたかったんだがなァ……帰るまでが遠足って言うだろ?なのに、遠足先で弁当すら食べずに帰って来るたァ、お母さん悲しいぜ」


だから、と男は告げると、タバコを中身が大分詰まっている携帯灰皿に捨てた。


「残っちまった丹精込めて作った弁当、ちゃんと食えよ?」


残さずな、と男は笑うと、意図を理解していない男達をそのままに、手を振りながらビルを出ていった。


男がビルから少し離れると同時に、ビルの一室が爆発したのだった。













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