表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/39

俺が何をしたって?   side松村玲 (1/2)

いつも通り嫌な朝が来て、嫌な学校に行って、特に代わり映えのない一日が終わる。

ざっと俺の人生をいうとこんな感じだ。そして今日も嫌な朝が来て、嫌な学校に着く、此処まではそのいつも通りで順調だった。


しかし…いつもとは違った。



ひそひそ、誰かが俺の席の方を見て話す声が聞こえる。具体的な内容は分から無いが、たしかに俺の事を言っているのだと分かってしまう。しかも話している奴らは中々カーストの上位が高い4人組だ。いつもならこいつら蜂山さんとばっか話してるのに、…今日蜂山さんは休みっぽいから暇なのか?


ぼーと彼らを見ていたら、急に声をかけられた。


「ねえ、ミチカから聞いたねんけど、あんたサイテーやな」   


「えっと…何が?」


こいつ誰だっけ。確か須月くるみとか言う名前だった筈、てか何がサイテーなんだ。



「誤魔化すんじゃねーぞ!!証拠もあるんだぞ!!」


後ろから別の男が出てきた。今にも喧嘩ふっかけてきそうなこいつは藤田。

ただのうるさい筋肉ヤローだ。


そしたらまた後ろから男女二人組が出てきた。


「言い訳しても無駄だよ?ミチカとのグループLINEにしっかり残ってるから」


「蜂山ちゃん電話越しに泣いてましたよ、可哀想に」



田中と委員長の佐藤か。

だから…具体的にお前らの中の俺が何をしたのか教えてくれ。


「うちらの知らんとこでいじめ、してたんやろミチカに」



…俺が?1人で?

はあ?って顔してたら藤田が俺の胸ぐらを掴んできた。顔通りの行動だな。


「俺らの見てねえところでこそこそやりやがってクソが!!」


どうやら俺は女子に影で陰湿に一対一でいじめを行う様なやつらしい。


「…俺が、蜂山さんに何をやったって?」


「まだはぐらかしますか…あなたミチカさんに脅して、金取ったり痴漢したりしていたでしょう」



昭和のヤンキーレベルの低知脳だろその俺。


藤田が俺の胸ぐらを掴み、大きい声で叫んだ辺りであたりで周りがザワザワとしだした。

“えっ?松村があの蜂山さんに…?“ “うそ、サイテー…だから休んでるんだ“

そんな動揺した様な声がちらほら聞こえる。…クラスの全員が俺の噂らしい話を知っているものだと思っていたが、この4人以外は知らないのか。


「皆さんこれを見てください!」


チャンス!って顔した委員長の佐藤がスマホを周りに見せる。きっと先程、田中の言っていたLINEの証拠とやらを見せているのだろう。段々とクラスの奴らは動揺の声から蔑みの声へと変わっていく。引くわーと各所から聞こえた。


…蜂山ミチカ、一体俺に何の恨みがあって虐められていたなど言うんだ。クラスで人気で優しくて文武両道な学校1美人だとか言われている彼女は仮面で、実は承認欲求の塊だったとか?だから俺をダシにして周りから心配して貰おうとしているのか?…笑えるな。


しかし、痴漢されていたとか簡単に人に言えるものなのか。まだ、こいつらが嘘をついている可能性も無くは無い…、確認する必要があるな。




「そのLINE、俺にも…見せてくれないか?」


「…ふん、良いですよ。怖くなったんですねどこまで蜂山さんが自分のことを書いているのか。ダサすぎますね、やはり貴方は見た目通りの〜〜〜〜」



なんかごちゃごちゃとうるさい事を言っているがフル無視した。今は好きな様に言わせてやるよ。何一つとして俺の頭に入ってきていないが。


ー蜂山ミチカとのグループLINEには、彼らの言っていた通りに俺に言葉で虐められていた事、脅されていた事、ストーカーされていた事、性的行為を強要されそうになり逃げようとしたら殴られた事。


それら全ての会話が10分以内に行われていた。“警察に行った方が良いんじゃない?“と田中が言っていたが、“こんな事されていたなんて恥ずかして嫌だし、親に絶対にバレたくない“と蜂村が返す。…ストーカーされていた事とか早く警察に言えば蜂山ミチカも安全に俺から遠ざかることもできるだろう。


いや、それじゃ周りからの心配は得られない、か。




「ありがとう」



全て見終わった後、そう返す。本当ならありがとうなんて言う意味も、必要も無いが、性格悪いことがバレてはいけないからな。


そして俺はスマホの画面から目を離し、気づいた。なんとほぼ全員と言って良いぐらいの数のクラスメイトが俺をあり得ないという顔で睨んでいた事に。しかも先生に言ってやるから、なんて奴らもいるときた。


「あんた、…覚悟しときいや」


関西弁で喋る須月が不気味な笑顔でにやりと笑い、俺を見たあとすぐチャイムが鳴る。


ー大好きな朝休憩の終わりで嫌いな授業が始まるチャイムだ。

ブックマーク、ありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ