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S県S市某所にて   作者: Snatch久男
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 この小説を開いていただきありがとうございます。僕の半生を小説にしました。一人でも多くの人に読んでほしくてこのサイトに投稿しました。


「しかし、その場合ですと収益が減るデメリットも考えられます」

「米製のパーツだと安くなりますが、提携してる会社が反発するかと」


榊原は色々な御託を並べた。



色んな事を考えすぎて頭がパンクしそうになる。

この仕事を父親から受け継いでまだ3年だ。


僕の仕事は民間の造船会社の社長だ。

米軍と自衛隊が一体化した日米共同国防軍が発足した後、

日本の護衛艦やアメリカのイージス艦まで手がける国家御用達の造船グループ。


僕はその子会社を運営している。

従業員は約200名。

作業員180名、事務員20名といった所だ。


軍部の方々と話し合いをしながら、どんな船を作るのか決めていくのだが、国防予算が貧窮しており安く早く作れる船が求められている。

東南アジア諸国から仕入れたパーツを使えば安くなるのだが、

米国の圧力により米製のものばかり使わされる。

この仕事をしていると日本はつくづく属国なのだと思い知らされる。


憲法改正の段階で米国の良いように協定を変えられて、

日米共同国防軍なんて傀儡の軍隊を作らされている。

実に憂うべき問題だ。


僕はこの国の、会社の利益になるように立ち回ろうともがいている。

夢は自分の仕事を通じて国家復興を担うことだ。


「食事の用意が出来ました」

執事の声が聞こえた。

食卓へ向かおうかーー


食前のお祈りを執事と済ませた後、僕は食パンを食べていた。

今日の会議は午後1時からだ、重役たちと話をつけなければならない。\

身体が緊張で強ばっている。

果たして僕に成せれるのだろうか。

ネガティブな想像が胸をよぎる。


「たえず続く夢というものはありません。

どんな夢でも新しい夢に代わられます。

どんな夢でも固執しようとしてはなりませんよ」


執事は急に僕に語りかけてきた

思わずパンを食べる手を止める。


聖書や詩集の様な抽象的な表現が苦手である。

受け取り手次第で良くも悪くも捉えれるからだ。


しかし早朝の空っぽの脳みそには沁みるものがある。

お礼を言って食パンを食べ切った。


呼び鈴が鳴る。

こんな時間に一体誰だろうか。


執事が通した人物は、一番近くに住んでる女性だった。


名前は確かーー


「佐々木と申します、突然すみません。」

「私の娘を見ませんでしたか?」


3人とも首を横に振る。

いつ、どこでいなくなったのか立て続けに質問をした。




話によると高校生の娘が今朝起きてこないのを不審に思った佐々木さんは部屋を開けるとそこには誰もいなかった。


平常では部活の朝練があるので5時半には起きているそうだ。


昨晩は就寝の24時まで弟とテレビを見ていたらしい。

24時から5時半までの間に失踪した。


とりあえず学校と警察に相談した後、家族総出で捜索中だそうだ。

家出の線はどうだろうか?この手の事件でベタな質問を僕はした。


「あの子の友人や親族に既に連絡したのですが何も情報はなくて…」

佐々木さんは真っ青な顔をして説明した。




時刻はまだ9時半。


時間に余裕がありそうなので僕と榊原と執事は捜索隊に加わることにした




--


ポケットに入れていたスマートフォンで時計を見る。

9月12日午前5時。

早朝、親と弟を置いて私は家を抜け出した。

抜け出したとはいってもほんの1日外泊するだけ。

帰ったら友だちの家にでも泊まっていたことにして、叱られて、それで終わり。


本当はいけない事だと分かっているが、何故かそうせざるを得なかった気持ちだ。

何より、親でもない、兄弟でも、友達でもない、この人に受け入れてもらったのが、この人が私の事を受け入れてしまった事が私にとっての最大の不幸となりうるのか、幸運となるのかはまだ分からない。


私の心と体は離れ離れになっていた。


今日で直接会うのは3回目。


バックミラー越しに彼の顔を覗き込む。

無表情でどこか無機質のように感じる表情だ。髪は目元までかかっている狐目。痩せているが筋肉質でどこか力強いシルエットをしている。年は私と同い年にも見える童顔だが、彼の佇まいがそれを否定している。


目的地は彼の家だ。

彼はカウンセラーを営んでいる。

私も彼のクライエントの一人だ。


いつもは学校帰り、学校の近くの個室喫茶店で話を聞いてもらっていた。

メッセージでのやり取りも多い


私の少しの攻撃性を私だけの密かな宝物にしてきた。

そんなものが宝物になるくらい私にとっての日常は無難で、有り触れたものだった。

ある日、私の宝物が壊れてしまった。

私にとって密かに胸に抱き抱きしめていた、そうあるべき怒りという感情のはけ口に私はなってしまったんだ。


ある日の帰り道、薄暗い木々が不気味に見える時間帯。

私は見知らぬ男に襲われた。


一瞬が永遠になり、身体が分解されていった。

一度離れた肉体と魂は離ればなれになり、ついに戻らなくなってしまった。


いつもの家族、いつもの食事、いつもの学校、いつもの友だち。

なにも、なにも感じない。

私は文字通りの抜け殻になってしまった。

そして誰にも打ち明けることなく一年が過ぎた。

 そんな中、埋もれるスマホの通知の中で一つ気になるメッセージがあった。

醜さを共有するアプリ、UGLYというものからのメッセージだ。

このUGLYというアプリは人間の汚さ、醜さを共有するというコンセプトのアプリだ。

日本中のみんなで何かを傷つけたり壊したりする瞬間をシェアしている。

学校では誰もが当たり前にやっている。

政治的に困窮している日本で犯罪率は増加、30年前には綺麗なものを共有するInstagramというアプリがあったそうだがにわかに信じがたい。

見知らぬ他人からもメッセージがくるように設定してある。


何か悩みをかかえていませんか?

イライラしたり、不安になったり、眠れなかったり

あなたのお悩みなんでもお聞きします

S市無料相談所 culpritより


公営の無料相談所だ、そう思った私は連絡をした。

派遣カウンセラーという形で、何でも学校まで迎えに来てくれるそうだ。


初めて会ったのは先月



 すまねえ!乳首いじいじ^^みんな選挙には行こうね。あなるほじほじ。あと、バンドメンバー募集しています。ボーカル、ギター、ベース、ドラムを募集してます。

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