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アンダーグラウンド掃討作戦(三百四十五)

「いや、その顔は『絶対知っている顔』でしょう?」

 再び組んでいた腕を解き、今度は人差し指を琴美の方に振る。

 実に嬉しそうだ。犬の尻尾みたいに腕をブンブン振って、琴美に『答え』を求めて迫っていた。

 琴美は『答えたくない』のか、激しく首を振りながら肩を竦める。加えて画面に集中する素振りまでして、目を合わせようとしない。


 宮園課長アルバトロスの顔には、久し振りに笑顔が戻っていた。それもそのはず。誰だか知らないが、『気の合いそう』なJDじょしだいせいが目の前に現れたからだ。顔も好みだし。

 ハキハキした性格で元気も良い。爺さん、おっさん、デブの誰にでも、分け隔てなく接してくれているのも好感が持てる。


 但し『スタイル』は全くもって不明だ。ファッションセンスも。

 顎が二重ふたえになっていない所を見ると、『普通の体型』であると判る程度。汗もかいていない。

 宮園課長アルバトロスは自分の首筋の間にある汗を拭き、腹を見て確信する。『少なくともこのレベルではない』と。


「指を指すな」「何だよ」『バチン』「痛っ」「何だじゃねぇよ」

 パッと指を払ったのは黒田である。尚も逆らって腕を持ち上げるが、今度は強めに叩き返されてしまった。

 これ以上の『抵抗』は怪我の恐れあり。仕方なく、後は口を尖がらせて抗議だ。


「お前みたいな『変態野郎』には、一糸たりとも触らせるかよ」

 酷い言いようだ。抗議は敢え無く失敗に終わる。黙り込んだ。

 確かに『マグロ漁船』から救助されたとき、宮園課長アルバトロスは女王様から『調教』される毎日を送っていた。

 だからと言って『変態野郎』と決め付けられても困る。


 家にあった『数々の証拠物件』は、全部灰になったと聞く。

 だとしたら、自分を『変態野郎』と呼ぶ理由は、九十九・七%は消滅したに等しいではないか。

 特別製の『等身大フィギュア』に煌びやかな『1/1サイズの下着』を着せて会話に勤しむ。加えて、毎日『あんなこと』や『こんなこと』をしていただけなのに。


 素晴らしい『楽園での想い出』が、走馬灯ようにチラつく。

 ちきしょう。惜しいことをした。陸軍め、勝手に燃やしやがって。

 俺は、絶対に忘れないからな。フィギュアを。


 宮園課長アルバトロスが『そんな奴』とはつゆとも知らず、琴美はチラっと振り返った。苦笑いの会釈を添えて。

 何も知らなければ、宮園課長アルバトロスは『只のデブ』である。流石に『おじいちゃん、それは言い過ぎ』と思ったのだろう。

 すると、只のデブには『天使の苦笑い』と映ったのか、親指を立てて『いいさっ』とカッコつけてみる。既に見ていないが。


「でもさぁ、何でこんな簡単に爆発しちゃうのぉ? 危なくない?」

 見ている前で、更に一機が派手に吹き飛んだ。

 まるで、映画で見た『崖から落ちる途中の車』である。何の衝撃もない内から、派手に爆発するところなんて全く一緒ではないか。


「爺さんは知ってるんだろう?」「あぁ。でも理屈は判らん」

 後ろで勝手に会話が始まったので、琴美は再び振り返った。

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