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アンダーグラウンド掃討作戦(三百三十九)

「あぁあ。ごちゃまぜツリー、やられちゃいましたねぇ」

 呑気な高田部長イーグルの声。その横を不機嫌極まりない本部長ペンギンが通り過ぎる。前には大佐の姿が。

 歩いてはいない。『猫』のように首根っこを掴まれていて、ぐったりとしている。『ニャー』とも『ミャー』とも言わない感じで。


 天井に向かって『三番解放』と指示したのは本部長ペンギンである。流石は薄荷乃部屋オペレーションルームの設計者だ。

 殆どの『仕掛け』を熟知している。だから『赤上の位置』を見た瞬間に発声。それは的確で冷静な指示だった。


『殆ど』と言うからには『まだ知らない仕掛け』があると言うことに等しい。本部長ペンギンはチラリと後ろを見る。

 その『仕掛け』とは、当然のことながら高田部長イーグルが設計したものだ。奴は口が堅い。


 互いの『技術』を認め合ってはいても、その『人間性』については信頼に値しないと思っている。お互いにだ。

 だから二人は、互いの『仕掛け』について情報を秘匿している。

 所がたった今、その『秘密の一端』が詳らかになってしまった。


 まず一つ目は『三番落とし穴』の場所。

 高田部長イーグルは滅多に薄荷乃部屋オペレーションルーム内をうろつかないが、当然ポッカリと開いた床を踏んだりはしないだろう。いや、一メートル以内に近付かないかもしれない。


 もう一つは『三番と言うからには、あと三つ落とし穴がある』と、高田部長イーグルは考えるだろう。

 あぁ、『二つ』の間違いではない。確実に『三つ』だ。

 奴なら必ず『ゼロスタート』に気が付く。何故なら奴も『アセンブラ言語』を理解しているからだ。


 本部長ペンギンは後悔していた。落とし穴の場所を『数字』ではなく、『イロハ』にすれば良かったと思う。

 でなければ、せめて『アルファベット』にでもしておけば。

 しかし焦って『今から変更する』のは得策ではない。奴のことだ。

 変更されたファイルの『タイムスタンプ』から、システムを解析される可能性がどうしても捨てきれない。かなり危険な行為だ。


 よそ見をした『フリ』をしつつ、高田部長イーグルは『三番落とし穴』の場所を確認していた。穴の開く方向も含めて。

 実は『あの辺が怪しい』というのは、以前から判っていた。


 この部屋の詳細な測量、本部長ペンギンには内緒だが『レーザー測量』を実施していたのだ。お陰で『0・01ミリ』まで、きっちりと計測済である。どのネジが何度の角度になっているかまで。

 それを、この部屋の完成直後に測量した結果と比較すれば、『土日の突貫工事で何かした場所』なんて一目瞭然だ。

 本部長ペンギンが『仕掛け』を設置する言訳に、クリスマスツリーやらこいのぼりを飾り付けているのは間違いない。


「たっ、助けてくれっ!」

 まだ『閉まっていない』と思ったら、赤上が穴の際でバタバタしているではないか。本部長ペンギンは思わず溜息だ。

 ただ無言で『握りしめていた何か』を振り回し、蓋が閉まるのを見てスッキリしたのだろう。両手をパンパンと叩いた。

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