アンダーグラウンド掃討作戦(三百三十一)
風呂から上がったので続き。二人逃げ大佐が倒れた瞬間より再開。
「大佐っ!」『スパーン』「ええっ?」から0・1秒後に戻る。
寄りによって、千絵が薄荷乃部屋から飛び出していた。そこへ高田部長が投げた『ハンドスピナー』が到達していたのだ。
「あれれっ! 外しちゃったじゃないですかぁ」
確かに『首』は外した。だからと言って、二話前で『首筋に向かって』と表記したのもあながち嘘ではない。
人の体には『首』を表す部位は一つではない。『手首』『足首』も入れれば左右合わせて六つはある。それを含めてのことだ。
何れの箇所も『刃物でざっくり』でもしたら、それはもう『ぞわぞわっ』としてしまうこと間違いなし。
食事中なら、良く噛んだ物を戻してしまうかもしれないし、鼻腔に入って再起不能になる恐れも。さっきみたいに酒を飲んで、風呂に入っていたら鼻血を噴き出して掃除をする羽目にもなる。
しかし、心配は不要だ。人間の体には、まだ『首』を使って表す部位が残っている。判らなければ辞書でも引いて探すと良い。
ヒントはそれも『左右で一組』のものだ。判ったら目を閉じよ。
レッド・ゼロの二人は前を見て走り続けていた。後ろ何て、どうなっていようが知るものか。今は前だ下だ上だ下だ上だ下だ。
抽選に当たったのは赤右。正直生き残ったのは誰でも良かった。
突然現れた千絵の姿に『軍服を着ていた美神』を連想していた。その後ろからは、思わず手を合わせてたくなる御威光が光り輝く。正体はゲートの明かりだ。
有難いことに赤右の願いは直ぐに成就する。
唸りながらも手を合わせ、前へと崩れ落ちながらも必死に美神のお姿を目で追い続ける。
自分のわき腹を蹴り飛ばしたのとは反対側のおみ足が、高々と揚げられて行くのを眺めていた。
回転する『お揃いの何か』を判別する気力だけを残して。ガクッ。
もう一人は当選者は赤左。こっちも同じだ。
倒れる仲間、もう誰だか判らない赤何とかを放置してまで何を拝んでいたのか。果たしてその行動は、正解なのか、それとも否なのか。答えは直ぐに判る。
正解は正解だ。ブラックアウトした。
「大佐っ! 大丈夫ですかっ!」
手品にしては酷い失敗だ。千絵にはそう見えたのだろう。
大佐の顔でバウンドした『謎の丸い筒』が、『パチン』とゴム紐から『外れる瞬間』を目にしていた。それが回転を始める。
「あぁっ! あの野郎のせいで、外れやがったぁぁぁっ!」
「なんですってぇっ! ちょっとぉ、もしかして、あれってぇ?」
イィィグルはぁ、あせってぇ、『起爆側』の方をゆぅびぃさぁしぃたぁ。ペぇンギィンもおどろいてぇ、口をとがらせるぅぅ。
「もぉしぃかぁしぃてぇ『C4(しぃふぉ)』入ってたんすかぁ?」
「ふつぅいぃれぇるぅだぁろぉっ!」
「入ぃれぇまぁせぇんてぇっ!」
二人は頭を抱え床に伏せる。立っているのは正解だけだ。




