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アンダーグラウンド掃討作戦(三百二十二)

 千絵チーには『何が起きているのか』がサッパリ判らない。

 今朝NJS本社へ出向く車中で、大佐から『注意事項』があった。

 いや『注意』ではない。あれは『警告』だ。


『良いか? 絶対に『エンペラーペンギン』と『イーグル』には刃向かうな。何だったら話し掛けるな。全部私に任せろ。良いな?』

 理由を聞いても『聞くな』の一点張り。押し黙ってしまった。


 秘密組織の長である大佐も、十分に『謎多き人物』である。

 陸軍・東部第三十三部隊なかのがっこうの部隊長にして、黒豹部隊ブラック・レパード指導教官長こうちょうせんせいを兼ねる。役職はおろか、経歴、本名まで秘匿されていのだ。


 我々の中では『大佐』と言えば、それはもう『ゲムラー大佐』と決まっている。異論は認めない。

 通じない奴は『敵のスパイ』でファイナルアンサー。即抹殺。

 故に我々は、その『コードネーム』さえも簡単には口にしない。


 大佐が絡む作戦はそもそも『秘中の秘』である。もし『ゲムラー』の名が聞こえた瞬間、敵は最大級の警戒網を敷くだろう。

 そうなってしまっては、任務の成功が怪しくなってしまう。

 だから一貫して『大佐』で通す。そんなの常識だ。


 そんなお人に、そこまで言わせる民間人とは一体。


 実際に会って判ったのは『ハッカーである』と言うことのみ。

 大佐の後に挨拶はしたが、『小娘か』と相手にもして貰えていない感じだ。篭絡も想定して、スカートを『短め』にして来た。

 胸元だって強調しておいたのに、チラリとさえ見ない所を見ると、もう枯れてしまっただろう。大佐はジロジロ見ていたのに。


 もしかしたら、『大佐への挨拶』に忙しかったからかも。大佐はハーフボックスの中で、それはもうボッコボコにされていた。

 民間人にボコられるなんて『有り得ないこと』だが、見た目は普通の『おっさん』だから、大佐も遠慮していたのだろうか。


 エンペラーペンギンは背が低く、ガッシリとした体格。確かに『ペンギン』の名前がピッタリだ。大佐の左肩を押さえて左拳を腹へ。

 イーグルの方はおちゃらけた感じだが、裏では何をしているのか判らないタイプ。右肩を押さえて右拳を腹へ。突き上げるように。

 まるで『高速餅つき』のように、交互に撃ち込まれていた。


 大佐が左手を前に出していたのは『大丈夫だ。心配ない』なのか、それとも『助けてぇ』なのかは今となっては不明。知る由もない。

 車中での『警告の通り』としたならば、きっと『別れの挨拶』も相当なものになるだろう。


 益々謎が深まる。しかし大佐は作戦が始まると、二人にピッタリとマークされてしまっており、こちらから支援は不可能。

 未だに二人の『実力の程』は未知数だ。大佐ともあろう人が、こうも『やられっぱなし』というのも驚きではあるのだが。


 だからこそ『実力の程』を知りたいものだ。

 ことわざで『能ある鷹は爪を研ぐ』と言うが、全然砥いでいる様子は見受けられないし。謎は深まるばかりだ。

 あっ、大佐の真名が『よりい』っていうのは忘れることにしよう。

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