表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
967/1532

アンダーグラウンド掃討作戦(三百二十)

「どうだ? 通信は復旧しそうか?」

 スクリーンに映されたままの赤い点。ピクリとも動かない。

 フリーモードになってしまった機体だ。本部から前線までの通信回線が、プッツリと途切れてしまっていることを表している。

 今は『動く者』全てに対し、殺戮を繰り返しているだろう。敵味方関係なく。皆公平に弾が尽き果てるまで。


「判りません大佐っ! ねぇ、予備にも繋がらない? どう?」

 千絵チーは手元に集中し大佐の方を見ない。いや、見れない。

 そのまま朱美ミケの画面を覗き込んだ。開発元のハッカーなら、何か『裏技』でも使えないだろうか。


「予備もダメぇ。メンテナンス用の低速回線にも応答しないわ」

 やはり『裏技』は存在したようだ。しかし千絵チー朱美ミケは顔を見合わせるしか出来ない。随分と不味い状況だ。


 チラっと大佐の方を見ると、凄く怖そうな顔をしているではないか。だから、手を上にして『お手上げ』のポーズは我慢。

 その後ろに立つ高田部長イーグルは、大佐のことを馬鹿にした仕草をし続けている。下品に笑ったり、大佐の顔真似をしたり。


 あぁ、本部長ペンギンに至っては論外だ。完全に蚊帳の外。

 一体何のために存在しているのかすら不明。手持ち無沙汰なのか、ゴルフのスイングをしてみたり、大きなあくびとか伸びとか。

 表情は『お前らそれぐらいのこと、早く何とかしろよぉ』とでも言いたげに。いや或いは『定時になったら帰れるんだろうなぁ』か。

 余程肝が据わっているのか。それとも本当は何も理解していないのか。表情からして『まだまだ想定内』と読み取れないこともない。

 一つ判っていることは、きっと『お客様』が居なければ、『チェスを始めている』に違いないということだけだ。


『侵入者です。総員六名。全員M16を装備しています』

 さっきから何も変わらないスクリーン上に、監視カメラの映像が映し出された。どう見てもそこは見覚えがある。

 薄荷乃部屋オペレーションルームに入る、『廊下の風景』ではないか。人工知能三号機ミントちゃんの報告通り、自動小銃を左右に振りながら慎重に歩く男の姿が映し出された。


「キャーッ!」「朱美ミケ! 落ち着いてっ!」

 立ち上がって叫んだのは朱美ミケである。

 富沢部長ブラックスワンも立ち上がったが、それは朱美ミケをなだめるため。支えようと走り寄るが、千絵チーが先に支えてくれたので、倒れずに済んだ。流石軍人。落ち着いている。


 直ぐに富沢部長ブラックスワン千絵チーに頭を下げながら、朱美ミケの両肩からしっかりと抱きしめた。

 目を見ながら何度も頷き、『大丈夫。大丈夫』と声も掛ける。


 落ち着け。この部屋は大丈夫だ。そう呼び掛ける富沢部長ブラックスワンが落ち着いて居られるのには理由がある。

 そう。『入り口のロック』を解除出来る訳がないからだ。

 重厚な鉄で出来た二重扉に、顔認証。加えて、難攻不落なパスワードによって、ガッチリ守られている。きっと『こんな事態』を想定して、厳重なセキュリティーが施されているのだから。


「ミントちゃん、扉開けてくれ。暇だから『歓迎』して来る」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ