表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
947/1537

アンダーグラウンド掃討作戦(三百)

 アンダーグラウンドとは、昔は『街』だった所だ。

 人工地盤の上に一斉に引っ越したことで、『忘れ去られた場所』でもあるのだが。ガラーンとしていて、誰も住んではいない。


 基本的に建物は『移設出来ます』だったのであるが、そこは新築大好きな日本人のこと。新しい更地の上に新しいお家を構えた。

 その後は『一定の期限付き』で、元の住戸は取り壊しする筈だったのだが、『臭い物には蓋をする』のも日本人。

 見えなければ取り敢えずは良いでしょう。の精神により放置。


 結果として、古くなった木造住宅はいつしか崩れ落ちる。

 そして十年に一度とか、三十年に一度の『大洪水』が発生すると、良い感じに流されて行き、基礎を残して綺麗さっぱり。

 あぁ、撤去しなくて良かったワァ。お得だワァと喜んだ。


 と、成れば良いのだが、下流の方は困ってしまう。

 お金を掛けて自宅を解体した人は、不満でブー垂れよう。流れ着いた瓦礫が自分の敷地も、かつての道路も塞ぐ。オオマイガー!

 道路を塞がれてしまったら、もう手の付けようがない。

 自分の家じゃないのに余りにも理不尽だし、浮浪者が生活する上で必要な『薪』とするにしたって、ゴミは大量である。


 だから『アンダーグラウンドのパトロール』をするには、最初に『地図作り』が欠かせない。それは誰もが理解する所だ。


「きよピコぉ、お前、あんまりウロウロするなぁ?」

 文句を言っているのはたなっちだ。山岸少尉に怒られたら可哀そうだと思って、先に叱ってやっているのだが。


「何でぇ? 初めての所は『先ず地図から』でしょぉ?」

 それをきよピコは、全然判っていないようだ。口を尖らせている。

「今日は良いんだよ。今日はぁっ! すいません。少尉殿ぉ」

 きよピコを言い包めた後は、クルリと振り返って山岸少尉に頭を下げる。するとまだ『不満気』であるが、きよピコも頭を下げた。


「まぁ良い。きよピコ、ここ『蔵前橋通り』かぁ?」「さぁ?」

 秒で首を傾げるきよピコ。山岸少尉の『まぁ良い』で機嫌が直ったのか、もうニコニコである。なたっちは渋い顔のままだ。

「結構戻りましたよね?」「うーん。戻り過ぎたかなぁ」

 田中軍曹の意見に、山岸少尉も首を傾げる。結構走ったしなぁ。

 暗闇でグルグル回ってしまっては、幾ら何でも方向感覚が狂う。

「もし『戻り過ぎた』のなら、充電もしたいよなぁ」「はいぃ」

 山岸少尉は隊長機の『バッテリー残量』を見ながら考える。


「まだ『敵陣の中』なんじゃないですかぁ? ほらあれぇ」

 きよピコが指さしたのは古い廃墟のビルだ。四人は一斉に見る。

 小さな明かりが漏れ出ていて、ご丁寧に『自動警備一五型イチゴちゃん』が一機、文字通り警備中。確かに違和感しかない。


「敵の秘密基地なんじゃないすか?」「怪しい匂いがプンプンする」

「陸軍なら『一機で警備』なんてしないしなぁ」「ケチくせぇっす」

 全員の勘が『敵の秘密基地』だと告げている。ならば仕事だ。


「あれぇ? あっちから『安全地帯の電波』なんか出してますよ?」

「何だとぉ? 生意気だなぁ。よし。良い物をお見舞いしてやろう」

 山岸少尉はニヤリと笑って『温存していた機体』を呼び寄せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ