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アンダーグラウンド掃討作戦(二百九十六)

「扉みたいだけど、開かないなぁ」「どれ。お前そっち引っ張れ」

 確かに『いつ潰されるか判らない場所』は、さっさと抜け出したい。全員が賛成したようだ。寧ろ異論は認めない。

 手分けして『多分扉』を開けようと試みる。


 最初は二人で。それでも埒が明かないので、二手に分かれた。

 いや、開かないのは『扉』であって『埒』ではないのだが。

 兎に角突っ込む者は皆無。開く気配もまた皆無である。


「ダメだ。どうする?」「どうするってったってってぇ、なぁ?」

 睨まれたのは、何故か『専門家』である赤桐である。『子供の遊び場』として、慣れ親しんでいたのならば、脱出方法も推して知るべしなのではないかと、推して知るべし。


「俺だって知らないよ。実家のマンションとは違うし」「けっ」

「ちっ」「糞が」「肝心なときにこれだよ」「何の役にも立たねぇ」

 何だろう。『言い方』って大事だ。一言で全員から叱責とは。

 変な答えをするからこうなるのだ。困っているときこそ『安易な答え』は禁物。『取り敢えずの答え』はないと思った方が良い。

 もっと考えて考えて考えて、そして考えるべし。


「このケーブルを切っちまえば良いんじゃねぇかぁ?」「んん?」

 ライトを照らして、周りを観察していた赤里が何かを指さしている。口振りからして『ケーブル』なのだろうが、良く見えない。

「これかぁ?」「そうそう。その黒くて太いの」

 覗き込んだ二人がニヤリと笑っている。

 赤里は『俺のみたいな』と思っているだろうが赤味の思いは違う。


「これ、『電源ケーブル』だろうから、死ぬと思うぞ?」「まじ?」

 どうやら今、『変な方向』に会話を持って行くのは適切ではないと感じたのだろう。場の空気が変わる前に『真実』を告げた。


「何だ。じゃぁ赤里、お前切れよ」「俺かよ!」「イイネ!」

「頼んだ」「宜しくぅ」「ハサミ無いから『歯』でも良いぞぉ」

 最後に赤桐が自分の口を指して言ったから、『刃』と勘違いすることはないだろう。それにしても、みんな笑顔で酷い奴らだ。

 これだったら一人位死んでも良いだろう。遠慮せず逝け。


 赤里だけがあからさまに『嫌そうな顔』をしている。多勢に無勢とはこのことだ。民主主義とは、何て恐ろしい世界なんだ。

 三分五十二秒前まで『仲間』だと思っていたのに。

 もっと前、五十八分四十秒前なら『仲間の為なら死んでも良い』とさえ、思っていたのにも関わらずだ。この仕打ち。

 改めて、笑顔で『死ね』と言われてしまっては、死ぬ気も失せると言うものだ。何か死ぬのやーめた!


「これ、『通信ケーブル』じゃねぇの?」「どれぇ?」

 反対側に居た赤上が見つけた『黒いケーブル』は、下ネタにするには細すぎた。そもそも小指よりも細いのだから、例えようがない。


「同軸ケーブルか。ちょっと古くねぇか?」「判んのかよ」

 あれ? 他に誰も突っ込まないのを見ると、判っていないのは赤右だけのようだ。それとも何か? 紙面の都合? 時間の都合?


「これ違うなぁ。『電話線』かなぁ」「だとしたら、随分太くね?」

「屋外用じゃねぇの?」「で、開くの?」「制御用ならな」「おっ」

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