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アンダーグラウンド掃討作戦(二百九十四)

 レッド・ゼロの六人は、エレベーターシャフトを登り始めた。

 結局、ここが『何階』なのかは判らない。ただ、『窓から見えた景色』は相当な高さであることだけは判っている。後は勘だ。

 勘だけで『マザーコンピュータを探す』ことが無理なのは百も承知だが、今はそれをやるしかない。無理が通れば道理が引っ込む。

 アンダーグラウンドでは、未だ『死闘が続いている』ことを忘れた訳ではない。いや正確には、今思い出した所だ。


 エレベーターシャフトには『横穴』がある。それを探していた。

 上下に移動する『縦穴』から逸れて、他のハーフボックスをやり過ごす目的が殆ど。しかし平行移動したハーフボックスが『機密区画』へと、直接向かうための通路だったりもするのだ。

 ブラック・ゼロからの情報によると、軍関係者は『専用の乗り場から専用のハーフボックスに乗った』とあった。それは判る。

 だからと言って、『ハーフボックスの通路まで専用』とは限らない。そんなの一本の葦であれば、直ぐに判ることだ。

 特急列車が『専用のホームを使う』からと言って、『専用の線路を走る』とは限らないではないか。

 一応補足しておくと、この世界に『新幹線』は存在しない。


「おい。ここに横穴があるぞ!」「気を付けろっ!」

 エレベーターシャフトをよじ登るのに、もう疲れたのだろうか。

 警告も聞かずに横穴へと飛び込んだ。舌打ちしても始まらない。

 下から叫んだのは、子供の頃からマンション暮らしで、エレベーターシャフトを遊び場にしていた赤里である。前々回やられたことになっていたが、間違いに気が付き、しれっと『赤下』に直した。

 フフフ。『名前なんて記号さ』とは、良くぞ言ったものだ。


 そんな間違いは置いといて、気を付けるのは名前だけではない。

 今登って来たエレベーターシャフトは、荷物用エレベーターのワイヤーが通っているので、ハーフボックスが来ない。

 それが横穴に入ったら事情が変わる。奥から『どもぉ』っと、ハーフボックスがやって来るかもしれないのだ。当たったら多分痛い。

 もしかしたら擦りむいてしまうかもしれないし、場合によっては唾を点けても治らない事態に陥ることも考えられる。相当危険だ。


 しかし、誰も赤里の警告に対し、耳を貸す者はいない。

 振り向いて『赤里の存在』は確認した筈なのだが、次々と横穴へと飛び込んでしまうではないか。赤里は思わず渋い顔だ。

 寂しいことだが、所詮『チョイ役』であって、『名前を間違えられる程度のキャラだった』という訳なのだろうか。寂しい限りだ。


「いたぞっ!」「ちょっと何見てんのよっ!」『バキッ』「うわー」

 そうではなかった。何しろ赤里も横穴に飛び込んだではないか。

 振り返った赤桐、赤味、赤上、赤左、赤右、そして赤里の目に飛び込んだのは、追って来るNJS社員の姿だ。スカートの中を見られて激怒したのだろうか。一人蹴られて真っ逆さまに落ちて行った。

 でもまだ沢山いる。『同士蹴り』で一人減った位では、対処できない人数なのは明らかだ。


「どっちに行く?」「知るかよ!」「どうするんだよ!」

 最後に赤里が横穴に入ってみると、こちらでも内紛が起き掛けていた。最初に『俺に付いて来い! こっちなら絶対安全だ!』と言っていた赤桐が、強めの言葉で責められている。え、何?

 俺はそんなこと言ってない。だって? じゃぁ、後でセリフを直しておいてやる。フハハ。著者を舐めんなよぉ!

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