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アンダーグラウンド掃討作戦(二百九十二)

 崩し将棋を足蹴にして崩したのは、オフィスの反対側から入って来たレッド・ゼロの戦闘員だ。後ろを振り返って渋い顔。

 派手に飛び散った将棋の駒を見て、『申し訳ない』と思っているのだろうか。いや、さっき謝ったしそれは無い。

 やはり、NJSの社員に追い掛けられていたのであった。


「こんな所で! どうしたっ!」「どうしたじゃねぇよぉ!」

 机の上でランデブー。しかし、向こうも一人足りないようだ。

 八人でこのフロアに侵入したのに、今は六人しかいない。

 向こう側でも一人『討死』してしまったか。今は祈ろう。


「赤下はどうしたっ!」「られたっ!」

 身長体重性格学歴職歴何もかもが不明のまま、赤下は『退場』となってしまったようだ。まぁ、それも良い。どうせ偽名だし。

 新しく加入した誰かに、『n代目赤下』を襲名させるだけだ。


 六人は頷き、今度は一団となって逃げ惑う。仕方なく目指したのは廊下である。オフィスを走り回って大体の位置は把握していた。

 扉の向こうは『エレベーターホール』である。一旦そこへ逃げるしかない。そして、エレベーターへと逃げ込むのだ。


「逃がすなっ!」「俺の獲物だっ!」「待ちやがれぇっ!」

「自動振替は連続二回残高不足で解除s」『ドンッ』「うわっ!」

「強制解約となり債権譲渡させて頂きm」『ガンッ』「あれぇー」

 何やら深刻な通話でさえも、ことごとくぶった切りながら進む。

 彼らは遂に廊下へと躍り出た。やはりエレベーターホールだ。

 廊下の向こうでは、赤嶺がハイヒールで踏まれ続けている。まだ生きているようだが、昇天するのも時間の問題だろう。放置だ。


「早く乗り込めっ!」「乗ってどうすんだよっ!」「良いからっ!」

 ドアの隙間に段ボールの切れ端を突っ込んで、エレベーターを強制的に留めていた。それが功を奏す。乗り込んだら直ぐに出発だ。

「閉めろ閉めろ!」「まてぇっ!」「おい、何か突っ込めっ!」

 エレベーターの中と外では、激しい攻防が始まっていた。

 籠の中では両サイドから、無理矢理扉を閉じようとする。突っ込まれた手は、とりあえずM16で引っ叩く。すると引っ込んだ。

 しかしまだ閉まらない。下に足が挟まっている。M16で以下略。


 すると今度は、消火器が突っ込まれたではないか。これはM16で引っ叩いても『カンカン』音を立てるだけで引っ込まない。

 中と外で押し合いへし合いだ。外から扉を開けようと手が突っ込まれた場合は、直ぐにM16でぶっ叩く。またまた引っ込む。


 埒が明かないと誰もが思っていた。しかし、赤桐は冷静だった。

 首に巻き付いた電源ケーブルを解き、手に持っていた掃除機を投げ捨てる。いや捨てない。天井に向かって思いっきり突き上げた。


『バゴンッ!』「良し。開いたぞっ! 急げっ!」

 点検用の蓋が壊れて、見えたのは暗いエレベーターシャフトであった。ロープが二本ぶら下がっていて、籠を支えているのが判る。

 赤桐は手前の一人に『肩を貸せ』と合図すると、思いっきりジャンプした。点検口に両手を掛けて、もう一度合図。腕の力と仲間の補助を受けて、スポンと籠の外へと消えた。


「大丈夫だ。ココから行けるぞっ!」「次は俺だ」「良し来いっ」

 天井から手を伸ばすと、二人目が籠の外へと吸い込まれて行った。

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