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アンダーグラウンド掃討作戦(二百八十七)

「押し込めっ!」「おうっ!」

 もう『お風呂のアヒル』なんて放置だ。どうせ中身は『コンクリート』か、『Cー4』辺りに決まっている。気になんてするものか!

 ヌンチャクで折られたあばらが軋む。それでも突き進むしかない。


 幸いなのは、襲い来る一団におよそ『協調性』というものが皆無であることだ。『我先に』の感情が強過ぎる。男も女も。

 カツラが取れて揉める奴。何をそんなに必死になっているのか。


「どけどけどけぇっ!」「道を開けろっ!」『ゴンッ』「ぐふっ!」

 M16も『鉄の棒』としての使い道が残されている。

 弾丸が切れたときに『銃剣突撃』すれば、簡易的な『槍』の変わりにはなるだろう。柄が短くて『突く』ことしかできないが。

 ちなみに『長槍の使い方』は、『上から叩くもの』らしい。


 出会い頭の不意打ちでもあったのだろう。二人は人垣を突破した。

 すると、後ろから来た一団と混ざり合いさらに酷い有様だ。

 良く見えないし、見るつもりもないが、後ろの方では社員同士の『喧嘩』が始まっている。良くやるよ。少し頭を冷やせ。


 突破して道が開けたのも束の間。二人の前に新たな人影が!

 一瞬身構えたのだが、それは『NJS社員』ではなかった。

 レッド・ゼロの仲間である。エレベーターホールで別れてから、数分後の再会であった。それでも、互いに無事を確認する暇は無し。

 向こうの二人は『何やら怪しい物音』に気が付き、急いで駆け付けた。それなのに、仲間の後ろに見えた『怪しい一団』は一体。


「フォーメーションA!」「何だって?」「良いからA!」

 そんなの訓練していない。しかし赤桐は必死だったのだ。

 背中の痛いのが飛んで行かない。ジンジンする。クソッ。あの『お風呂のアヒル』のせいだ。いてぇよぉ。マジで中身は何だ!


 一方赤嶺は、『フォーメーションA』の意味が判っているようだ。

 パッと振り向き、M16を前に突き出して威嚇する。

 合流した二人もそれに続いた。四人が並んで廊下に立ち、『おりゃ』『おりゃ』と脅しながら、ゆっくりと後ろに下がる。

 どこまで下がれば、この状況を打開できるかは判らない。

 それでも、『一時の息継ぎ』くらいは欲しいではないか。


「おい、『地下の奴ら』とは連絡取れたのか?」「駄目だ」

「まじでか? 六人居たよなぁ?」「あぁ。無線が通じない」

 威嚇が効いているのか、社員達も様子を伺っている。

 手に持った『謎の物体』をガチャガチャといじりながら、一瞬の隙を突いて来ようとしているのだろう。後ろの方で誰か自爆した?


 不思議なことに『ナイフ』とか『銃』とか。戦場で良く目にする『正統派の武器』は、一切見られないことだ。手榴弾も無い。

 手に持っているのは『掃除機』や『炊飯器』。流石に『洗濯機』や『冷蔵庫』を持つ者は居ない。エアコンの『室外機』なら一人。

 ちらりと見えた『細いの』は、もしかして『釣り竿』か? おいおい。投げ込もうと振り回しているが、天井に当たっているぞ?


ってやるぅぅぅっ!」

 睨み合いが続く膠着状態を打破しようと、一人の男が飛び出した。

 手にしていた『釘バット』を見た瞬間、『あぁ良かった』と思った彼ら四人は、既に何処かられているのかもしれない。

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