表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
931/1534

アンダーグラウンド掃討作戦(二百八十四)

 情報処理とは何なのか。『情報』を『処理』するのだろう。

 では、その『情報』とは何か。更にそれを『処理』するとは?

 かなり曖昧な表現である。『1』と『0』で表すとしたならば、それは『1』になるとだけは言えるだろう。意味判らんが。

 つまり『何でも』である。『あらゆる情報』を『どんな処理』でもする部署が『情報処理課』なのだ。少なくともNJSに於いては。

 例えると、『生きていた証』という情報を『最初から居なかった』ようにする処理なんてのは『通常業務』の内だ。課員全員が可能。


 すると『ヌンチャク』を持って小走りになっている女子社員を始め、『鞭』『水鉄砲』『掃除機』『お風呂のアヒル』を握り締めて立ち上がった社員達も同様だ。証左として目がイっちゃっている。

 ん? 『お風呂のアヒル』は随分デカいが、どうするんだ?


 漏れ出る殺気を敏感に感じ取り、異変に気が付いていた。プロだ。

 自席での『リモート会議』は放置して、当然のように打ち切り。

 先程、いつもとは違う『兆候』は感じ取っていた。アンダーグラウンドの守衛所から、情報処理課のスピーカーに連絡があったのだ。

 今頃は『ジャンケンで負けた奴』が処理に向かっているだろう。

 残念。彼らは中途半端に『処理』の方だけを、受け持ってしまったらしい。恨むならもっと強い『ジャンケンAI』を育てることだ。


 先頭を行く女子社員は、情報処理課に配属三年目の若手である。

 彼女は『実績』が欲しかった。本部長ペンギンに新兵器のプレゼンをして、通った試しがない。机の中は『ボツ作品』で一杯だ。

 今手にしている『ヌンチャク』は、『アイディアは良い』と評価を貰ったものの、あれこれ理由を付けて『ボツ』になってしまった一品である。制作に心血を注いだのだ。『復活』を証明したい。


 後に続く社員達も気持ちは同じ。手塩に掛けた『逸品』だと自負。

 流石に『高田部長イーグルのように』とは行かないまでも、いずれ目指すはナンバーワンだ。惜しくも『ボツ』になってしまった『新兵器』を携えて『実績作り』に奔走するまで!

 つまり、この上ない『敗者復活』のチャンスが到来!

 今日は良き日。正に『二階からぼた餅』又は『棚から目薬』だ!


『バタン!』「フォォォォッ!」「うおぉぉっ!」「俺の獲物だ!」

 廊下に響いた激しく開くドアの音。驚いて振り向く。すると見えて来たのは、正しくヌンチャクを振り回す女が! さっきの娘?

 走りながら肩を経由したり腰を経由したりしているが、目だけは『獲物』を捕らえ続けているのか。M16など目に入ってはいない。


「アチョォォォッ!」「うわぁ! 何だぁっ!」「落ち着いてっ!」

 奇声を上げて振り下ろされたヌンチャク。思わずM16で防ぐ。

 するとヌンチャクの軌道が瞬時に変わり、一瞬見えたのは白いおみ足だ。短いスカートなのに、躊躇なく繰り出された足。

 生パンツに見とれている間に、M16は弾き飛ばされていた。


 それが前から後ろへと回って行く。一瞬の出来事であるが、随分と長いようにも感じる。回転する勢いで捲れ上がったスカートが、ふわりと降りて生パンツを隠した瞬間、右わき腹に激痛が走った。

「トォォォォッ!」「ぐふっ!」

 あばら骨が完全に折れた。更にめり込む感触が。近くなった彼女の顔、そして優しく香る髪の匂い。目がイったままの恍惚の表情。

『ビリビリビリィィィ!』「うわあああああっ!」

 そこに十万ボルトの電撃が走る。思わずのけ反っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ