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アンダーグラウンド掃討作戦(二百四十七)

 大佐は返答に困って、自ら机に突っ伏してしまった。

 寝ても状況は変わらないのに。しかし意外にも、それ以上二人が大佐を追及することはなかった。


 それは、富沢部長ブラックスワンにしてもあり得ない。

 普通、人の会社に『飲み屋の請求』なんてのが回って来たら、常識を疑われても仕方が無いのに。

 特にあの二人なら、『ここぞとばかり』に追及する筈だ。


『この『木の棒』は、小豆バーの棒になります』

「あぁ道理で」「小豆バーって何?」「え、知らないの?」「うん」

 ミントちゃんの説明が始まったので、富沢部長ブラックスワンは頭を切り替えた。目の前の二人。朱美ミケからの問いに、千絵チーがまた楽しそうに説明を始める。


「和菓子の『あんこ』って知ってる?」「うん。知ってる」

「あれを凍らせたのが『小豆バー』よ」「へぇ。そうなんだ」

「夏の風物詩だよねぇ」「千絵チーは良く知ってるねぇ」

 いや違うだろっ。と言い掛けて、富沢部長ブラックスワンは耐える。全く。これだから素人は困るのだ。何も知らんのか。

 良いか? 『小豆バー』は『あんこ』を凍らせたものではなく、『きんつば』を凍らせたものだ。しっかりと覚えておきなさい!


 それにしても、朱美ミケは本当に『お嬢様育ち』らしい。

 マジ顔で驚いちゃって、庶民のことは何も知らないのだろう。

 いや違うか。帰国子女だったっけ。ん? どっちでも一緒だ。


『こちらの『歯型』は『宮園武夫の歯型』と一致します』

 スクリーン上に『歯医者から取り寄せたカルテ』が表示され、赤い矢印で『ココ』と表示されている。

 そして木の棒の方にも赤い矢印で、同じく『ココ』と。


 すると見ている前で二つの歯型に『赤色の破線』が引かれ、それが形を変えずに動き出す。

 惹かれ合うように二つの歯型が移動して、やがて中央でピッタリと上下に重なると、今度は『緑色の実線』に変わった。


『同一人物である確率、百ニ十%です』

 スクリーン上に線と同じく緑色で『完全一致』の文字が。

 それを点滅させながら『誇らしげに報告している』のだが、そんな演出をしなくても見れば判るのに。

 あぁ、どうして『主治医』に辿り着いたのかは『健康保険の履歴』から直ぐに判るし、コンピュータとミントちゃんは大親友だ。


 それより、ミントちゃんでさえ『見栄を張りたかった』のだろうか。今の『指摘事項』は牧夫ホークから教わった筈なのに、その点には一切触れていない。気になる所だ。


 多分『ホットラインによる会話』は、ミントちゃんの耳には入っていない。自分以外を信用しない高田部長イーグルは、『コンピュータからの介入』も含め、考慮済なのだから。


 いや、そもそも高田部長イーグルが作り上げた人工知能三号機ミントちゃんだ。口笛でも吹いて誤魔化しているのだろう。

 性格が高田部長イーグルと『完全一致』していても、おかしくはない。

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