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アンダーグラウンド掃討作戦(二百二十三)

 成程。ロボットを倒せないなら、操縦している方を狙えば良いじゃない。と、そう言うことですね。赤丸は納得して頷いた。

 いや、納得は出来ない。だとしても、『厩橋を渡って来る』と判っていたのなら、足止めの為にも襲うべきだったのだ。


「それ、『厩橋で狙わない理由』になりますぅ?」「なるよぉ」

 赤坂は『赤坂見附の交差点だなぁ』と思いながら歩き始めた。

「何処がですかぁ?」

 追い掛けて歩き始めた赤丸からの問いが続く。

 赤坂はチラっと後ろを振り返ったが、それは赤丸の顔を見て『本当に判っていないのか?』を確認する行為だ。直ぐに前を向いた。


「厩橋で人間を狙ったら、帰っちゃうかもしれないだろぉ?」

「帰りますかねぇ。あれだけ張り切って、来ていたのにぃ?」

 赤丸の更問いを聞いて、再び赤坂が振り返った。その顔は嫌らしくも、笑っていやがるではないか。


「そっちだって、帰るとは思ってないじゃないですかぁ!」

「ごめん。ごめん。全然、思っていないよぉ」

 言葉だけは残念そうに謝りながら、両手の平を上にした。


「この戦争で俺達が出来ることは、何だと思う?」「俺達がぁ?」

 赤丸から返事があったのに、その後の具体的な答えがない。だから、まるで返事を待つかのように、赤坂も黙って歩き続ける。

 足元に飛び出して来たねずみを、黙って蹴散らした所で赤坂は振り返った。『おーい。返事はまだかぁ』であろう。


 赤丸は口をへの字にして『判らん』を示した。仕方があるまい。

 何しろ赤丸は、まだアンダーグラウンドに来てからの日が浅い。食料はレッド・ゼロから支給されていることしか知らないし、ココで生活する厳しさも辛さも、多くは知らないのだろう。


「生き抜くことさ」「えっ、それだけぇ?」

 ちょっと間が開いてしまっているが、赤坂の答えが『戦争の目的』であることは明白だ。赤丸は意外な答えに驚く。


「後は奴らに、『恐怖』を、植え付けること、かなぁ」

 振り返った赤坂の顔が笑っている。顎の下に持って来た右手は、『下から照らす懐中電灯』のつもりだろうか。

 しかし赤丸にとって『さっき見た赤坂の顔』とは、差ほども違うようには見えない。陽気な赤坂の『笑顔』である。赤坂は前を向く。


「奴らの作戦は『安全な場所からの機械による侵攻』だろぉ?」

「そうですねぇ」「そこだよ。そこ。我々が目を付けたのは」

 自分の解説に自ら納得するように、右手の人差し指を伸ばしてブンブン振っている。しかし赤丸は首を傾げるだけだ。


「がら空きの本部を、後ろから『ズドン!』ですかぁ?」

 赤丸はショットガンを持ち『ぶっ放す振り』をしてみせた。すると嬉しそうに赤坂が振り返る。


「正解! って、こらっ! 俺を後ろからやるなっ!」

 赤坂の笑顔がパッと変わり、見えない銃を勢い良く振り払う。


「あれあれぇ? 俺の銃も、怖いっすかぁ?」「全然怖くねぇよ!」

 悪戯っぽく笑った赤丸に対し、真顔で答えた赤坂は前を向いた。

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