アンダーグラウンド掃討作戦(二百十四)
中学校跡地に到着した高機動車の中で、四人は準備を始めた。
アンダーグラウンドの警備で、自動警備一五型を使いこなしていた豊富な経験がある。意外に思うかもしれないが。
最初は、放置された車両に乗り上げてしまい横転。
横転した奴を別の奴で起こそうとしたのだが、元々『そう言う使い方』は想定されていなかった。バランスを失って隣にゴロン。
五人の力技では起こすことが出来ず、『明日、ユンボを持って来るか』と、その場に放置して引き揚げた。
翌日、山ピーが工事現場からパクッて来たユンボに五人で箱乗りし、意気揚々と事故現場に戻った。そこで驚愕の事実を目にする。
自動警備一五型の姿がない。二機ともだ。
焦る隊員達だが、山岸少尉の一言で安心する。
『気の利いた誰かが、片付けてくれたに違いない』
そう帰結して軍に戻ったのだが、大佐に怒られてしまった。
事故で二機ロスト位で何だ。全くもって理不尽である。
その後はちゃんと習熟して、使いこなして来ている。
まぁ、その『使いこなしている』中で、更に四機をロストしている訳だが。彼らにしてみれば『悪夢』以外の何ものでもない。
しかしそれは、山岸少尉の『事故報告書』によると『メーカーの不手際』と言うことになっている。
「よし、八機ゲットしたぜぇ。どれどれ。装備はぁ?」
たなっちがコンソールを打鍵して編成した『部隊表』を、隣のきよピコにチラっと見せる。そして直ぐに引き寄せた。
「ちょっと俺、まだ六機だぜ? 俺のを残しといてくれよ?」
きよピコの方が操作に慣れていないのだろうか。
若干たどたどしい打鍵速度だが、それでも打ち直しが少ないからか、作業自体は順調に進んでいるようだ。
「ありゃぁ。機銃ばっかりだなぁ。軍曹殿の方はどうですか?」
たなっちに言わせれば、『機銃』なんて『おもちゃ』みたいなものなのだろうか。それでも人間相手には、十分『凶器』なのだが。
「十機集めたけど、ロケットランチャーとかは無いのかなぁ?」
田中軍曹はコンソールの部隊表を見つめ、不思議そうに首を傾げている。暗視眼鏡装着して『実機』を確認するが、整列しているのを見る限り『肩口からのスローカーブ』はお目に掛かれない。
「えぇっ、ちょっと『俺の隊』にも分けて下さいよぉ!」
きよピコが田中軍曹のコンソールを覗き込んだ。
まごまごして内にもどんどん取られてしまうのに、そんなことをしている余裕はないはずなのだが。
「少尉殿の隊は、何機になりましたぁ?」「良い武器ありました?」
すると山岸少尉は、コンソールを全員から見える位置に高く掲げた。にっこりと笑うと、画面を指さして自慢する。
「俺はニ十機の部隊だ。何と、グレネード持ってるのが居たぜぇ?」
「流石少尉殿! 手がはえぇっ!」「グレネードって何すかぁ?」




