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アンダーグラウンド掃討作戦(百三十八)

 可愛い猫が鼠を追う絵が入った画面を指して、猫柳が言う。

 しかし可愛いのはメニュー画面だけで、切り替わった後は何の変哲もない説明動画に切り替わった。それを食い入るように見つめる。


『♪このシステムは、先頭の機に後続機を追従させるためのシステムで、主に前線基地へ飛行機を運搬するためのものです♪』

 画面では音楽付きで、滑走路に並んだ飛行機の列が現れた。そして、そのまま列を成して上空へと飛び上がり飛んで行く。

 そして一列縦隊のまま、無事滑走路へと着地して停止した。


「駄目じゃん」「良いから。良いから」

 初っ端の説明から苦笑いの黒田が、画面を指さして鈴木に問う。

 しかし鈴木も苦笑いながら冷静に、上下に振った手を画面に指して『続きを聞け』と促す。猫柳も振り返って頷いた。

 黒井は口をへの字にすると、再び画面を覗き込む。


『猫まっしぐらバージョン1.41421356―R2で追加された機能として、『追従釦ジャンピング・ネコタッチ』が追加されました。こちらの機能は操縦に不慣れな方でも、タイミング良く起動することで追従を始めることが出来ます』

 説明の途中で、鈴木と猫柳が黒井を生暖かい目で見つめた。もちろん黒井は『俺のこと?』と、自分を指さしている。

 すると二人は頷いて、説明はまだ続くようだ。


『万が一、タイミングを逃してしまった場合でもご安心下さい。飛行機は大抵の場合、そう簡単には落ちないように設計されています』

 再び鈴木と猫柳に、笑顔で見つめられて、黒井は直ぐに理解した。


『ロックオンの要領で僚機を捉えましたら、『トリガー』ではなく、再び『追従釦ジャンピング・ネコタッチ』を押して下さい」

 今度は目を見開いた鈴木が、黒井へ『強烈な圧』を掛ける。

 しかし睨まれた黒井は、それをニヤニヤしながら知らんぷりだ。鳴らない口笛を吹きながら。

 猫柳は『それはそれで面白そうにゃ』と、顔に出して笑っている。


「機銃の弾、抜いておけ」「それは駄目だよぉ」

 ミサイル全盛の今、『機銃なんて使うの?』かもしれない。

 確かに遠くからミサイルをぶっ放して、そのまま帰投するスタイルなら、機銃を使う機会もないだろう。


 しかし戦闘機乗りにしてみれば、『機銃のない戦闘機』なんて考えられない。どこかの世界の『Fー35BだかC』じゃあるまいし、そんなの『フンドシのない相撲取り』みたいなものだ。

 例え『最強』であっても『戦いにはならない』これに尽きる。


『自動操縦と手動操縦の優先順位は、各機能毎に事前設定を行って登録しておくことが出来ます。操縦者の技量により『松』『竹』『梅』の三段階で設定して下さい♪』

 説明が終わって、動画のクレジットが流れ始めた。何だか名前が全部『猫柳』になっているのは気のせいだろうか。

 しかし早々に打ち切られて、再びメニュー画面へと戻った。


「一番機が離陸後旋回して戻ってきますので、ここです(にゃ)」

「成程ね。まぁ、それなら行けるんじゃないかなぁ」

「ぶち込みの黒井中佐殿なら、余裕で行けるっしょっ!」

 こういうときだけ『中佐殿』って、これだから鈴木めぇ。

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