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アンダーグラウンド掃討作戦(百三十五)

 晴嵐のキャノピーを開けて、早速説明が始まった。

 黒井にもプロペラ機の操縦をしたことはある。そもそも飛行機のライセンスを取得する最初の一歩は、プロペラ機であるからにして。


「そんなに難しくないですよ」「だと良いけど。これ、飛ぶの?」

 鈴木が指さしたのは、前から二機目の晴嵐だ。イー407は、三機の晴嵐が搭載可能であるが、今は二機だけである。


「何言ってるんですかぁ。嫌だなぁ。これ見て下さいよぉ」

 鈴木の指先を黒井は目で追う。すると黒井は驚きの表情になり、思わず鈴木の目を見た。


「イー408からロールオーバーされてきた『新品』ですよぉ?」

「えっ? 博物館から引っ張って来た奴じゃないの?」

「ちょっと、何処の博物館ですかぁ? 面白いこと言うなぁ」

 苦笑いになって説明に戻る。どこの軍隊に『博物館から引っ張り出した装備』があると言うのだ。

 もしもそんなのがあったら、一度拝んでやろうではないか。


「それが『操縦桿』です」「いや、それは流石に判るって」

「これが『ラダー』です」「いやいやいや」

 表情からして『遊ばれている』のは判るが、どちらも笑顔である。


 かつて同じ釜の飯を食った仲。同い年の同期だ。それに黒井が『中佐』になったのは、この世界に来る十日程ばかり前のこと。

 その内、鈴木の奴だって昇進するに違いないし、二人だけのときに階級の話は無しだ。お互いに『さしつさされつ』した中である。ケツの穴の具合までは知らないが、


「じゃぁ『この機能』は知ってますぅ?」「んんっ、何だこれ?」

 その瞬間、鈴木の顔が『勝った』に変わった。

 対する黒井の表情は冴えない。いつの間にか知らない所で、『新機能』が加わっている。

 その辺は『流石軍隊』と、感心するしかないのだが。


「知らなかったでしょぉ」「知らねぇよ。何だよ『追従』って?」

「嫌だなぁ。『言葉の通り』ですよぉ」

「判るよ。日本人なんだからさぁ。『追従』って、あれだろ?」

「そうです。それです。大正解デース! いやぁ流石ですねぇ」

「いや、まだ何も言ってねぇし。んな『前の機を追う』なの?」

 笑いながら疑り深く首を捻る。鈴木を指さしてみたりした。

 仮にも『そんな機能』が飛行機にも付いていたとして、そんな危険な代物を誰が使うと言うのだろう。自動運転車じゃあるまいし。


「やっぱり正解! コレ押すと、前の僚機を追ってくれるんですよ」

「えぇぇ? 橋の下を潜ったり、空母に着艦してくれたりぃ?」

 出来る訳がないと思いながら一応聞いて見る。二人共笑顔だ。


「空母は無理ですけど、橋の下を潜るのは出来ると思いますよ?」

「いや、そんなの、あんまり意味無いじゃん!」

「そうでもないですよ?」「そうか? じゃぁ、何に使うんだよ?」

 鈴木少佐よ。利用方法についてご教授頂こうではないか。


「訓練の『標的機として』とか、後は『体験飛行』とかぁ?」

「あぁ、なるほどぉ。そぉいうこと、ねぇ?」

 半分納得して笑う黒井の顔を確認して、何故か鈴木も笑い始めた。

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