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アンダーグラウンド掃討作戦(百二十四)

『ダンッ・ダンッ・ダンッ』

 突然アルバトロスの後ろから、階段を上る足音が聞こえて来た。

 黒井がアルバトロスの後ろを覗き込むものだから、それに釣られて振り返った。まだ誰もいない。


『誰かいるのかっ?』

 足音に混じって男の声がする。誰だか判らないが、その声の主は黒田ではなさそうだ。

 やはり黒田はあの大男、『船長』とやらにられてしまったのだろう。若しくは『軍曹』だろうか。


 いや、軍曹は絶対に違うだろう。

 奴はデカいだけで、本当に見掛け倒しだ。睨みを利かせて『何だやるのか?』と、ポーズを見せただけでビビッていやがった。

 階段で端に寄り、『早く行けっ』と言い残し、自分は逃げるように階段を降りて行ったのだ。あれで『参戦』とかはない。


『おいっ、お前見て来いっ!』『はいっ』

 だいぶ近くなった声の主。それには聞き覚えがある。

 女王様の傍に居た『五十嵐』だ。すると階段を駆け上がって来る足音は、五十嵐の部下に違いない。


「早く来いっ!」「ブヒィッ!」

 黒井はアルバトロスの首に掛けた浮き輪を、グイッと引っ張った。

 すると、本当の豚かと聞き間違える程の声が響く。知らんけど。


「お前、どうやって外に出たんだぁ?」

 階段を上り切り、アルバトロスを発見したのは五十嵐の部下である。豚箱への警備に付いていた奴の一人だ。

 そいつがアルバトロスを目掛けて、廊下を走り始める。


「引っ張るなよっ! おわぁぁっ!」

 足をもたつかせて、アルバトロスがひっくり返った。すると見えて来たのは黒井の姿だ。おいおい、何でお前までいるのか?

 転んでいる相手を見て『歩いても余裕だ』と思ったのだろう。半分笑いながら近づいて来る。ついでに黒井を指さしていた。


「何でお前まで『豚箱の外』にいるんだよっ!」

「いやいや。同じ部屋だったじゃん?」

 その疑問に素直に答える黒井。床に転がるアルバトロスと、自分を交互に指さしながら、こちらも笑顔で答えている。実に素直だ。

 しかし部下にしてみれば、その答えでは答えになっていない。

 それに、だとしたら、同じ部屋だった『もう一人』は、一体どこにいるのか。そう思うと歩くのが慎重になった。

 二人を逃がさないように注意しながらも、物陰から出て来そうな『じじぃ』に警戒し始める。部下も食堂での『じじぃの雄姿』を見ていたのだ。勿論、掛けてはいなかったが。


「同じ部屋の『じじぃ』はどうしたっ?」

 アルバトロスの所まで無事に来た。しかし黒田の姿はない。

 上半身だけ起こして、座ったまま後ずさりしていたアルバトロスの太ももをグイッと踏みつけた。

「いぃてててっ」「おい豚野郎! 『じじぃ』は何処だぁ? ん?」


「お前、あの爺さんにぶっ殺されるぞ?」

 笑っていた。不気味にも。やはりアルバトロスは相当の『M』だ。

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