表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
748/1539

アンダーグラウンド掃討作戦(百一)

 真間ママの攻撃が始まったとき、可南子ファルコンはまだ『教育係』を探していた。

 すぐ傍に真間ママの短剣が迫っているのだが、まるで自分には関係ないことのように、見えてすらいないようだ。


 本来、上級生の上級生のそのまた上の上級生へと『問い合わせ』をする場合は、きちんと『伝言ゲーム』をして行く必要がある。

 特に『判断が難しい案件』については、『生き字引』と言われる上級生まで辿り着く必要がある。


 今回の真間ママの『問い合わせ』とは、先代の『真間ママのこと』だった。つまり、本当の『ママのこと』だ。


『ママがファルコンの卑怯な不意打ちで潰されたのは本当か』

 そんな昔のことを、ファルコンが同窓会に降臨さんかする3びょう前に言われても、判る訳がない。

 事情を知る四期生の耳に、やっと届いた所でタイムアップ。

『回答なし』は、つまり『質問は却下』とみなさなければならない。


 お嬢に絆創膏を貼っていた四期生は、直観的に『真間ママが仕掛けた』と確信した。えらいこっちゃである。

 致命傷にはならない程度に、真間ママの動きを封じるつもりでナイフに手を掛けた。掛けざるを得ない。


 とそこで、振り返った可南子ファルコンと目が合う。

 直ぐに震えが来た。それも目の威圧で納まると、全身が硬直する。

『お前か?』と語る目に『違います』と答えるのがやっと。

 しかも間の悪いことに、先輩であるお嬢を『盾』にしている。

 その陰から、真間ママ支援のために『可南子ファルコンを狙っている』と、捉えられてもおかしくはない状況なのだ。


 振り返っていた可南子ファルコンが、四期生を睨んだままゆっくりと前を向く。その間、ずっと固まったままだった。

 もちろん『殺される覚悟』の方が、より強固に固まっている。


 結論として、真間ママの短剣が『血を吸う事態』には至らなかった。『ドスッ』と突き刺さる音は、確かに二回響いたのだが。


 真間ママが予備動作で、短剣を持つ両手を同時に曲げた瞬間だった。それは顔の前で、両方の拳が重なった瞬間でもある。

 可南子ファルコンの蹴りが、真間ママの腹を捉えていた。みるみる内に、蹴られた胴体が二つ折りになって行く。


 それと同時に、真間ママの前を何かが、多分、可南子ファルコンの右手だと思うのだが。それが、『サッ』と横切った。

 仮に右手だったとして、その右手が『閉じていた』のか、それとも『開いていた』のかは判別できない。


 ただ一つ判ることは『パンッ』と、空気を切り裂くような音がして、二本の短剣が同時に飛んで行ったことだけだ。

 それが、お辞儀を続ける下級生の頭上スレスレを飛んで行く。

 壁に突き刺さると『ドスッ』『ドスッ』という音が響いた。


 もしかしたら、『正月早々死人を出したくない』という、誰かの気まぐれが、結果として真間ママの命を救ったとも言えなくはない。ストーリーが決まっていない初稿のこと。それも良いだろう。


 しかし初稿では『季節』や『時間軸』についてはまだ未調整であり、『同窓会』の開催時期が正月、つまり『冬』とも記載がない。

 それはつまり、『着ている衣装』についても余り言及がなく、強い衝撃を受け、『回転しながらスカートが捲れるシーン』について、詳細に記載できないことにもつながっている。


 真間ママがどんな衣装で、捲れたスカートの中からどんな下着が露わになって行くのかも、記載することが出来ない。


 例えば夏ならレースで、春先なら春を感じるピンク系、秋なら今流行りのカフェオレ模様かもしれない。

 ガーターベルトも見えて、そこには予備のナイフも見えると。

 あぁ、勿論、ストッキングはナシで、素足に決まっている。


 それが冬なら、厚手の黒ストッキング(せめてレース付き)で、毛糸のパンツになる所であろう。

 まぁ、精々可愛い模様をあしらって、例えば『イチゴ』とか(今時ねーよ)、干支の『ウサギ』とか(年明けてんだろ)。

 どちらにしても、それが幾ら回転したところで、汗も飛ばなければ何も起こらないので、全くインパクトがない。


「パンツ、丸見えだねぇ。若い子は良いね。良く似合ってるよ」

 可南子ファルコンは、床に這いつくばった真間ママの首根っこを、右足で踏み付けていた。どうやら既に意識はないようだ。

 すぐ前で頭を下げ続けている下級生は、結果しか見えていないのだが、それで『神の実力』を思い知るには十分だ。


「じゃぁ、行きましょうか」「何か、寝てるけど、良いの?」

「酔っぱらっているのよ。いつもこんな感じよ?」「そうなんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ