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アンダーグラウンド掃討作戦(九十)

 ご挨拶は無事済んだようだ。一同『音』で理解していた。

 色々と『噂』は耳にしている。同窓の彼女達にしてみても、どの噂も『信憑性に欠ける』とさえ思えるレベルのものだ。


 陸軍中野学校の『黒豹部隊』と言えば、陸軍の中でも知る人ぞ知る存在である。そもそも『中野学校』自体が極秘の組織であり、一般にはおろか、陸軍の中でも知られてはいないのだ。

 どこかの平行世界では存在が公になってしまい、それで消滅してしまったとのことだが、この世界では未だ健在である。


 設立以来、女性だけで組織された部隊であり、一人一人が『小隊』としての機能を有しているとされているが、その詳細は不明である。

 故に、在学すること自体が既に『エリート』であり、その上で、厳しい訓練が課せられているのだ。


 可南子ファルコンは、その栄えある一期生。そして『最高傑作』とも評される人物である。

 故に、彼女が決めた『ルール』は絶対。

 いや、それはちょっと違う。


 可南子ファルコンから、『他の在学生を守るため』に作られたのが、『ルール』の数々なのだ。


「折角だから、座りましょうか」「はいっ」「はいっ」

 可南子ファルコンが座っても、正面に立つおじょうとと優子シフォンは直立不動のままだ。

「失礼します」「失礼します」

 眉間のしわを観察し、次の一言が来る前に二人が声を掛けた。

 そして、ゆっくりと席に着く。


「失礼します」「失礼します」「失礼します」「失礼します」

「失礼します」「失礼します」「失礼します」「失礼します」

「失礼します」「失礼します」「失礼します」「失礼します」

 おびただしい数の挨拶が飛び交い、椅子の音が響き渡る。しかし可南子ファルコンの表情は、澄ました微笑のままだ。


 着席しても、気は全然休まらない。

 誰もが『こんな同窓会は嫌だ』と、思い始めているだろう。早く、いつもの同窓会に戻って欲しいと思いながら、可南子ファルコンの方を覗き見ることすら出来ないでいる。


 何しろ二期生の『お姉様』が、『お相手をして頂いているお陰』で、他の席には平和が訪れているのだ。

 年が離れた後輩達に、その実感は余りないのかもしれないが。


「先日の『不始末』は、どうしてくれるのかしら?」

 着席して直ぐに始まった。勿論『お小言』だ。何のことだか全然判らないが。それでも対応次第では、ここが『血の海』に変わる。


「お姉様、お詫びに『羊羹』を、ご用意したではありませんか」

「あぁ虎屋のね。大好物を有難う。あれ、お嬢だったのね」

「お納め頂いて幸いです。お姉様の好み、ちゃんと覚えてます」

 互いに口を押さえて、上品に笑い始めた。横目に見えた者は『なんだ。意外とチョロイな』と思い始める。


「今度、『水羊羹』にして頂戴」

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