表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
703/1541

アンダーグラウンド掃討作戦(五十六)

「そんな簡単にバージョンアップ、出来るもんなんですかぁ?」

 初めて口を開いたのは赤石だ。渋い顔をしたままの質問に、黒松も渋い顔のまま答える。


「出来るように作ってあるんじゃないの? 今は車だって、ねぇ?」

「あいつらなら、絶対やるよっ」

 まるで『知っている奴』のように黒沢が言うものだから、全員振り返って驚く。

 すると黒沢は、タバコを床に捨て靴で強く捻り潰していた。


「前回の戦闘にも、参加してる人?」

「はい」「はい」「はい」「はい」

 黒松の問いに、当然のように全員が手を挙げた。バラバラなのは、右手か左手かの違いだけだ。黒松の顔が一層渋くなる。


「多分、撮影されちゃってますよね?」「だろうね」

 黒松が黒沢に向かって確認を求めると、煙を吐きながら頷く。

「まじすかっ」「判らなかったなぁ」「いつの間に」

 レッド・ゼロのメンバーは、しきりに首を捻るばかりだ。


 そりゃぁそうだろう。判らないのが判らんでもない。

 何せ暗闇で『銃剣のド突き合い』をしたのだ。相手の目を見るのに精一杯で、『周りの目』なんて気にもしちゃぁいない。


「カメラ設置されてるでしょぉ」

 黒沢が『天井』を指さして振りながら、アンダーグラウンドに仕掛けられている『監視カメラ』のことを指摘している。

 しかしレッド・ゼロの一同は、『この部屋に?』と思って、キョロキョロするばかりだ。

 それを見た黒沢は呆れて黙り込み、首を竦めてしまった。


「こりゃぁ、変装必須ですな。ねっ? その方が良いですよね」

「あぁ。死にたくない奴は、急いで顔変えて来な」

 黒松の確認に、黒沢は当然のように言って見せる。

 しかし無茶を言う。『整形手術』でもして来いと?


「所で、チップ入ってます?」

 手術から連想した訳ではないだろうが、黒松が話題を変える。

 自分の左耳を指さしながらの質問に、レッド・ゼロのメンバーは互いの顔を覗き見て、それから頷く。


「俺は入っています」「俺もです」「多分、俺もです」

 赤坂を除く三人が、渋い顔をして手を挙げる。赤坂には、そもそも『質問の意味』が判らなかったらしい。黒松が赤坂に聞く。


「何? もしかして赤坂さんは『ハイポ生まれ?』」

「はい。そうです」「えっ? 違いますよ?」

 答えたのは赤石だ。聞かれた赤坂本人は、驚いて否定した。

「坂やん、良いんだよ」「いや俺、『東京生まれ』ですってぇ」

 驚く赤坂の肩を、今度は笑顔の赤川がポンポン叩きなだめている。


「『異世界転生者』は、通称『ハイポ生まれ』って言うんよ」

 そう。『ハイポ』はスワヒリ語で、『存在しない』を意味する。


「まぁじすかっ! 俺、『無敵』なんすかぁ?」「いや全然」

 赤坂は直ぐに否定されて、ズッコケてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ