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アンダーグラウンド掃討作戦(四十二)

「報復に、陸軍の第七研究所を爆破したのは、そいつらだ」

「新宿の、あのデカい研究所をですか!」「うそぉっ」

 再び部屋が騒がしくなる。噂はこんな所にも届いていたようだ。


 アンダーグラウンドを、決して一人で歩くな。誰が言い出したか知らないが、それはココの『不文律』だ。

 ルール無用のアンダーグラウンドに於いて、『不文律』とは矛盾しているが、一人で歩いていた仲間が何人も行方不明になっている。

 捉えられた者は、新宿の第七研究所へ連れて行かれるとのもっぱらの噂である。もちろん、二度と帰って来ない。

 それだけではない。助けに行った者さえも、誰一人として帰っては来なかった。


「という訳で、諸君には、これから『対策』を検討して貰いたい」

 決戦の日は近い。自動車よりも大きなロボが、二百機程アンダーグラウンドへやって来る。

 ブンブン飛び回る千機以上のドローンを引き連れてだ。

 コントロールセンターの場所は判っているが、デカいビルの何処だかは判らない。しかも、難攻不落。

 おまけに操縦者は『無敵』と来たもんだ。


 おいおい。それで一体、どうしろと言うのだろうか。

 銃をぶっ放し、手榴弾パイナップルを投げていた時代が、凄く懐かしくなってしまったではないか。


「あの頃は良かった」「いや、先月だからっ」

「もう、そんな時代じゃないんだなぁ」「元号変わってないからっ」

「老兵は、ただ立ち去るのみ」「二十歳になったばっかりだろっ」

 呟く言葉にも力がこもらない。突っ込みも普通だ。

 諦めたように一人が席を立つと、続いてもう一人、また一人と席を立つ。どうやら『説明会』はお開きのようだ。

 赤井も黒板に貼った図面やら写真やらを外し、手元の報告書と一緒に纏め始めた。


 一番前にいた奴が、気を利かせて黒板消しを手にするとさっさと消しに掛かる。赤井はそれを見て、小さく『ありがとう』と言う。

 しかしその声も、ソワソワするばかりで元気がない。


 すると入り口から、二人組の男が現れた。

 手にしているのは会議机だ。足がパタンと折り畳める奴。時々手を挟んで『痛ってぇ』ってなるアレ。それを次々と運び入れている。

「こっちから並べて行こうか」「はーい」「机ですよぉ」「はーい」

 次に来た二人組も同じ物を持って来ている。あらあら、どんどん会議机が運ばれて来たではないか。


 真っ直ぐ黒板の方を向いていた椅子も、一旦追いやられてぐしゃぐしゃな配置になったかと思ったら、会議机が置かれる度に規則正しく並び替えられて行く。

 するとそこへ、三角巾を被ったおばちゃんが現れた。


「会議終わったのぉ?」「はい。終わりましたぁ」

 その声におばちゃんが『ハイハイ』と笑顔で頷く。

「じゃぁ、料理運んで来て良いかなぁ」「オネガイシマース」

 厨房へ行き掛けたおばちゃんが、鬼の形相で振り返る。


「コラッ! お願いしますじゃなくて、お前とお前、手を貸せっ!」

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