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アンダーグラウンド掃討作戦(三十一)

 三人の後を『ブーン』と微かな羽音が付いて来る。

 それに気が付いた原島が、階段の途中で振り返った。するとそこには、綺麗に隊列を組んだ『ドローン』が連なっている。

 屋根があろうが関係ないらしく、しっかりと階段を追って来ているではないか。


「あれは何だっ!」「ミントちゃんだよっ」

 柳田が振り返らずに答える。彼にしてみれば、今の今までお相手していたのだ。『見るのも嫌だ』と。もう勘弁して欲しいのだろう。


「舐めてんのかっ!」「知るかっ!」

 柳田の姿がさっさと見えなくなる。原島も後を追うしかない。

 後ろの奴らは、階段を上り切り水平の通路に辿り着いても、キュッと曲がって付いて来ている。


 原島は『嫌な音』がする度に驚いて振り返るのだが、先頭の『ミントちゃん』とやらが、『空薬莢』をポロンと落としているのに気が付いてゾッとするばかりだ。


「ちょっとぉっ! 何か撃ってるけどっ!」「空砲だろっ!」

 だから何だと言うのだ。原島にしてみれば、どうして空砲なのかは知らないが、どうやら撃たれていることには違いないのだ。

 しかも撃つ度に『何かのセンサー』がピコピコと動き、『あれ? もう一発行っとく?』と考えているようなのだ。気味が悪い。


 原島はふと窓の外を見る。その途端に顔をしかめた。

 窓の外にも、後ろに付いて来ているのと同じ奴がプカプカ浮いているではないか。

 それがまるで『中継基地』に見えるのも嫌な感じだ。


 ジャンプしてホームの方を確認すると、流石に狭い階段だからか自動警備一五型イチゴちゃんは追っては来れないようだ。

 しかも改札口の方は地形的に段差があり、よじ登って来ることもままならない。多分無理であって欲しい。


 しかし良く見れば、並んだ同型機の内一機は、肩に『ロケットランチャー』みたいなのが見えている。

 その一機が我々の進行方向へと体を向けていて、ロケットランチャーの銃口を上下させているのだが。


「おいっ! 何か撃って来るぞっ!」「だから空砲だろっ!」

 柳田は同じセリフを吐いて、さっさと駅員室に飛び込んでしまった。金子もそれに続く。

 原島は迷うが、とても外まで逃げることなんて考えられないのは確かだ。


 空砲であることを信じよう。何しろ奴は列車と一緒にやって来たのだ。何か情報を持っているのだろう。

 それに応援を呼ぶ必要があるし。原島も駅員室に飛び込むとドアを閉めた。『ミントちゃん』が驚いて急停止する。


「はぁはぁ」「はぁはぁ」「はぁはぁ」

 男三人が息を切らせている。目も血走っていた。原田も金子も『予備役』で、警備に駆り出されただけだったのだ。

 それが何だか『命の危険』に晒されていると感じている。


「あんたぁ、あいつらに、何したんだよぉ」

 原島がドアを背にして座り込みながら、既に座り込んでいる柳田に問う。しかし柳田も『ゼイゼイ』言っているのでしばし待つ。


「俺が動かしたんじゃないよ」

 右手で空中を払いながら言う。疑われて顔だって迷惑そうだ。


「じゃぁ、何が起きているんだ? ありゃ何だ?」

 原島がドアの向こうを指さして聞く。原島にしてみれば、貨物列車を止めてやった『命の恩人』位に思って欲しいと希望している。

 しかし柳田は『俺のお陰で』みたいな口調で話し出す。


「陸軍の秘密兵器を、テロリストが狙ったんだよ」「へぇ」

「それを俺が撃退したんだ」「そうなんだ」「やったな」

 右手を大きく振って自己アピールをしている。そして手を『チョキ』にしたかと思うと、それを前に突き出した。


「屈強な奴を二人なっ」「おぉ」「やるねぇお兄さん」

 流石は『現役の兵士』と言った所だろう。真っ先に逃げていたけれど。いやいや、『逃げ足も実力の内』とは良く言ったものだ。


「あれは止められるのか?」

 今度は金子が聞く。しかし柳田は首を傾げるばかりだ。


「電池が切れるまで、無理じゃないかなぁ」「えぇー」「まじかぁ」

「あと二時間位。訓練後に充電してないからさっ」「なげーよ」

 三人は頷いた。ここで二時間『籠城』すれば、何とかなるかもしれないと思い始めていた。しかし原島は思い出してもう一度聞く。


「一機ロケットランチャー構えてたけど、大丈夫なんだろうな?」

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