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アンダーグラウンド掃討作戦(二十一)

「おいっ! コイツを押さえろっ!」

 次の『アフレコ』は、黒田の本音のようだ。

 自動警備一五型イチゴちゃんの視点画面に『背中の一番・二番・飛翔不可』の警告が付く。

 二列で四機づつ、合計八機が重なって搭載されているのは、『自立攻撃型ドローン』である。


 毎月発行のカタログ紙『勝つる武装』に、今月号から掲載されたばかりの新商品だ。商品名は『ミントちゃん』である。

 一見『家庭用の掃除機』に見えなくもないが、それは『擬装』であってサイズもパワーも全然違う。もちろん役目も。


 その八機全ての電源が入った。緑のランプが一斉に点灯したのだ。

 黒田が上から押さえていなければ、直ぐにでも飛び出す。そして最高時速二百キロに到達し、攻撃を開始する。


 ちなみに『標準装備』は五・五六ミリ弾であるが、『吹き矢』から『手裏剣』まで、実に多彩な攻撃手段を取り揃えている。

 詳しくは『勝つる武装』の今月号より、『ミントちゃんのオプション』の項を参照されたし。表紙の写真は軍服を着た楓ちゃんだ。


「どうするんですかっ!」

 黒井が加勢する。自動警備一五型イチゴちゃんに背後から飛び掛かって、急いで背中に飛び付いた。

 既に上の二機、一番と二番が『ヴォーヴォー』鳴っている。


 四つのプロペラで飛翔するのだが、今は折り畳まれている。それが背中から飛び立ち、充分な高度に達した所でパッと広がる。

 そうすることで、『省スペース』と『安定飛行』を両立しているのだ。良く出来た仕掛けなのだが、今はそれが仇となっている。

 上から強く押さえ付けられて飛び出せないとは、設計の段階から『想定外』であったらしい。


 柳田も『目の前の事態』を理解していた。

 赤い目はオロオロしながら左右に動く柳田を、『キュインキュイン』と音を立てて睨み続けている。

 どうやら真っ先に狙われるのは、柳田自身であると。


「これで良いんですかぁぁっ?」「判らんっ!」

 背中をよじ登って来た黒井が、黒田の隣までやって来る。

 そして黒田がそうしているのを真似して、ミントちゃんに覆いかぶさった。

 確かにそれで良いのかなんて、二人には判らないのだが。


 しかし『ミントちゃん』は『兵器』である。

 そして『兵器』であるならば、それは『損傷』することは想定されていて当然だ。

 自動警備一五型イチゴちゃんにも、背中の『ミントちゃん』が『使い物にならない』ことを検知する機能があった。

 そしてそれを『役立たず』として『廃棄』する機能もだ。


『ポンッ!』「おわぁぁっ!」『ポンッ!』「オギャー」

 自動警備一五型イチゴちゃんの背中から勢い良く『排除棒』が飛び出した。一番・二番が後方へと廃棄されたのだ。


 背中の二人は突然空中へと放り出され、暗闇へと消えた。

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