表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
650/1541

アンダーグラウンド掃討作戦(三)

 そこには、小太りの男がいた。狭い運転台では窮屈そうだ。

 しかし、聞いておいて何だが、一別して違う。手にしている『似顔絵』とは全然違っているのは確か。


 兵士は『目はちょっと似ている』と思ったのであるが、とりあえず口を尖らせるしかない。空振りだ。

 しかし『協力者』であるか、何処かで『証言者』あるか。


 はたまた、心と体が入れ替わった『転生者』であるかは、最低限確認せねばなるまい。

 兵士は小太りの男からの返事を待ちつつ、制服の『名札』を見た。


「どうなんですか? 佐々本さん?」

「佐々木ですぅ」

 直ぐに言い返されて、兵士は目を擦り歯を見せて笑う。

 しかしそれは『作戦』だったようだ。佐々木が胸の『名札』を摘まんで見せているので、それを覗き込むと直ぐに聞く。


「これは失礼。佐々木ぃ、(健)、誰さん?」

「八戸運輸区の佐々木『健吾』ですぅ」

 名札にはない所属を含め、フルネームを答えたので真顔になった。

 しかしパッと振り返ると、運転手も『佐々木』ではないか。


「あなたも『佐々木』さん?」

「はい。八戸運転区の佐々木『雄介』です」

 今度は兵士が呆れると、口を尖らせた。

 いや、別に全員『佐々木』だって良いではないか。別に『悪いこと』を、している訳ではないのだから。本人にしてみれば。


「こっちの『佐々木さん』は、何をしているの?」

 兵士は後ろになった小太りの男を親指で指し、目の前にいる運転手に聞く。

 すると『仕事の邪魔をするな』とばかりに、説明を始める。


「お宅の『秘密兵器』が重たいのでぇ」

 身振り手振りで貨車の連結具合を表す。そして広げた両手で拳を作ると、それを機関車に見立てて『ガシャン』と挟み込む。


「前後を機関車で挟むようにして走っているんですよっ」「はぁ」

 そんなこと言われても、兵士だって困る。ちょっと『面倒臭い質問をしちゃったなぁ』と思い始めても手遅れだ。


「だから、前後の機関車で『協調運転』をするのに、『補助員』として乗っているんです」「そうなんですかぁ」

 運転手はチラっと時計を見ると、運転台へ向かって歩き出す。


 兵士の横を通るときに、『退け』とばかりに兵士を睨み付けた。

 それに驚いて兵士は思わず道を譲ってしまったのだが、任務は忘れてはいない。


「それで、何をしているんですか?」

「無線で『ノッチ』の報告と、信号を伝えるんですよっ」

 兵士は小太りの方に聞いたのに、答えたのは運転手の方だ。


 先に答えられてしまったのか、くろ健吾たもつは、首を勢い良く『そうそう』と縦に振るだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ