表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
648/1542

アンダーグラウンド掃討作戦(一)

「重村大佐と黒井中佐の二人組だっ! 探せっ!」「はいっ」

 怒号が響いた後に、バラストを踏みしめる音が響き渡った。

 大勢の兵士が『似顔絵』を手にして走り回っている。この中に紛れ込んでいる『ネズミ』を探しているようだ。


 富士演習場の臨時貨物駅では、訓練を終えた『ロボット軍団』の積み込み作業中だ。

 積み込みはNJSの社員と軍人が合同で行っている。


「こちらが『積み込みモード』です」「はい」

「モードを必ず『セーフティ』にしてからですね」「はい」

 初回の積み込みは工場だったので、NJS社員が実施した。だから、兵士も積み込みは初めてなのだろう。練習という訳だ。


 さっきまで、命を懸けて『対決して相手』とも言える。だから、おっかなびっくりであることは歪めない。

 グッと睨まれても『ちびる』程ではないが、手順を間違えれば、ちびる暇さえないのは確実だ。


 NJSでは既に、三人『首』が飛んでいる。


 工場で耳にしたことはないだろうか。

『あいつの右手、先週まであったよね?』

『そうそう。新型のテストしててさぁ』

 こんな感じのヒソヒソ話を。まぁ、それの『首』版だと思って頂ければ判り易いだろう。


「こんな顔の奴、見なかったか?」「何ですかぁ?」

 二人で作業中に、突然割り込んで来る兵士。

 見せられた紙には『爺さん』と『おっさん』の似顔絵が。まるで、何人も殺して来た様な、酷い悪人面だ。二人とも。


「黒井中佐と?」「重村大佐だ」

 黒井中佐の方をトントンと叩いた兵士が、右手を顎に添える。

 捜索している兵士が、爺さんの顔を人差し指で『バシッ』と弾いてから顔を挙げると、その仕草に気が付いた。


「見たのか?」「いいえぇ」「紛らわしいっ!」

 怒って行ってしまった。積み込み中の兵士とNJS社員が辺りを見回すと、貨車の下やら、機関車の下を探している。

 列車は何編成もあるのに、ご苦労なこって。


 この世界に『丹那トンネル』は存在せず、東海道線は御殿場を経由していている。

 だから東京方面から御殿場を目指すには、急勾配の登り坂が続く。


 ロボット軍団を乗せた軍用列車は、富士演習場に来るのも一苦労だ。長い編成には出来ず、幾つもの短い編成でやっと来た。

 それも、列車の営業時間が終わってから、始発が始まるまでの間にだ。そうなると、帰りも同様である。


 まぁ『最高軍事機密』だし。積み込んだらシートを被せて一丁あがりだ。え? シートで良いのか? だって?

 うーん。北海道の最前線にでも投入するのなら『専用の貨車』も作るかもしれないが、今日は初陣だし、間に合ってはいない。

 機関車もパンタグラフを上げて、そろそろ準備が始まったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ