ハッカー殲滅作戦(二百七十八)
防疫給水部、別名『731部隊』の右井少尉が立案した『ハッカー殲滅作戦』は、多くの犠牲者を出して失敗に終わった。
情報収集の第一歩から『誤情報』を掴まされ、いや、それは『結果論』なのであるが、『情報収集の重要さ』を知らしめた。
そして、間違いを正すこともなく、得られた情報が『正しいのか』を確認することもなかった。
寄せ集めの集団で作戦を遂行した結果であるならば、それも『当然の結果』と言えるだろう。『後から』ならば、幾らでも。
ここに『作戦の被害状況』を記しておこう。
【防疫給水部】
◇ハッカー拉致班
エンペラーペンギン班・一名(書道家)以外、全員死亡。
イーグル班・全員死亡。最新電動SUV五台以上大破。
ホーク班・全員死亡
アルバトロス班・全員生き残るが無報酬。
ブラックスワン班・全員生き残るが無報酬。
◇本部
現場責任者・右井少尉。作戦の報告後に行方不明。
井学大尉・右手負傷。重症。
直営イタリアンレストラン・内装一式全損。
ヘリコプター一機(後で『出発記録』が抹消された)
清掃員作業着二着。トイレットペーパー・一本。
◇第七研究所
研究者・被験者の死者・行方不明・百名以上。
施設の四十%、研究成果の百%を破壊され、再起不能。
【陸軍】
◇第一師団・幹部負傷・死者多数。
◇東部第三十三部隊
ミントちゃんの情報漏洩。
その他雑費(ファルコン詫びを入れるための、ご贈答用『水ようかん』一箱。及び、琴坂家の玄関鍵修理代)
【海軍情報部・空軍情報部】
胃腸薬六人分。
【撫子会】
盗聴器付きハイブランドバック・一点
勝負服、及びハイヒール全て『お気に』の・ワンセット。
【吉野財閥自衛隊】
緊急出動費。隊員五十人分の『休日出勤手当』。
撫子会への損失補填。
【日本情報処理株式会社(NJS)】
全社員分の個人情報流出。
ハッカー集団『薄荷飴』の、宮園武夫を除名。
富沢部長の家族救出費用。
社用車『アストンマーチン・DB2』一台。全損。
本部長社宅・半壊(一階部分)。特殊清掃費。
【東京地下解放軍】
電波等観測、調査機器一式。
戦争に勝者無し。戦いは何も生み出さず、ただ空しいのみ。




