表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
626/1542

ハッカー殲滅作戦(二百五十九)

 出口を求めて施設内を旅するのも、ちょっと飽きて来た。

 ここは『初心』に帰って、さり気なく独房に戻るの一計だ。


 何しろ『BBQ広場』で罠に捕らえられ、身動きが取れなくなっている『民間人』が多数。

 その救助に『救急車』の一台や二台来る筈だ。


 日本国の住民なら『そんな考え』も、思い浮かぶかもしれない。なにしろそこは『平和な国』らしいので。しかしここは違う。


 権力と暴力が町中にはびこり、陰謀と隠匿に包まれている『大日本帝国』なのだ。だから、救急車は来ない。消防車も来ない。

 もちろん『警察』なんて、全く期待できない。


 陸軍にだって、消防組織はある。病院も、そして刑務所も。全てに於いて『独立して行動できる集団』それが軍隊なのだ。


 そんな軍隊の『巣窟』に忍び込んで暴れたらどうなるか。


 この際『どっちが先』とか、そう言うのは『現場』では関係ない。銃口を向けた『一般兵』に訴えた所で、迷ってでもくれたら『めっけもの』だが、ズドンと食らってお陀仏に決まっている。


 本部長ペンギンは建物沿いを素早く移動する。

 館内でかなりの数の『足音』が鳴り響く。時折聞こえる声も、随分と殺気立っている。


『何処に行きやがったっ』「ここでーす」

『見つけたらぶっ殺す』「前からどうぞー」

 館内から聞こえて来る声に、高田部長イーグルが小声で答えているのはムカつくが、本部長ペンギンと同じことを思っているので仕方ない。いや、撃つのは『後ろから』にして欲しいのだが。


 何度目かの集団が立ち去って、本部長ペンギンは館内を覗き込む。そして左右を確認する。

 足音はどんどん遠ざかるのみで、近付いてくる音はない。


「行っちゃいましたぁ?」「あぁ」

 安全を確認した頃に、ひょっこり出て来るのが高田部長イーグルやり方だ。もう体に染み付いている。


 本部長ペンギンはそのまま窓を開けて、壁をよじ登って中に入る。ストンと落ちると腰を落とし、再び左右を見て警戒している。


 するとそこに、逆Uの字に『金魚の糞』がうねって付いて来る。どうやら本部長ペンギンは、もよおしてしまったようだ。

 違った。やっぱり高田部長イーグルである。


「何か見つけました?」「あぁ、そこの扉見て見ろ」

 指さした扉に『×』マーク。『調査済』の印だ。


「あぁ、そこで『ご休憩』ですかぁ?」

 両手をクロスさせて胸にあて、くねくねと腰を振る高田部長イーグルがウインクして口を窄めている。

「ざっけんなっ」

 首をチョンと縦に振って本気で怒っている。流石に苦笑いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ