表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
623/1541

ハッカー殲滅作戦(二百五十六)

 突然、本部長ペンギンがヒラリと体を躱す。すると、物凄い勢いで走っていた本部長イーグルの足が、ピタッと止まった。

 目の前は『怪しい空間』が広がっている。それを避けた形だ。


「何だ。ちゃんと止まれるじゃないかぁ」

「いきなり止まらないで下さいよぉ。危ないじゃないですかぁ」

 それでも踵を上げ両手をグルングルン回して、何とか耐えている。ここで『チョン』と背中を押してやれば、下へ落ちるに違いない。


 どうするか迷っている間に『ふぅ』と溜息を漏らし、落ち着いてしまった。実際にどうなるか、見て見たかったのに。

 少々残念に思いながら、本部長ペンギンは少し窪んだ足元を覗き込む。そこには三メートル四方の窪みがあるのだ。

 空堀から三メートルは水平で、その先はスロープになっている。

 何かの時に車でも通す為だろうか。幅と言い、丈夫そうな造りと言い、そんな感じが漂う。


 それに堀の対岸と『二メートル程』と近くなっていて、しかも高さまで揃っているではないか。

 まるで『飛ぶならココです』とか、『橋を掛けるならココです』とでも、案内してくれている様だ。


「これ、罠ですねぇ」「やっぱりそう思うか?」「えぇ」

 半笑いで高田部長イーグルが指さした。そして腕を一直線に動かしている。良く見ると『細い隙間』が見えるではないか。

 どうやら本部長ペンギンが感じた『違和感』と、『罠師』の意見が一致したようだ。


「こっちからジャンプして来たら、『ドボーン』でしょうね」

 左手の二指で『走る人』を表現し、ジャンプさせた。そして笑顔のままクルクルと回して、逆さまに落として見せる。


 本部長ペンギンはゆっくりと、観察しながら歩いている。

 スロープを下って『細い隙間』の向こうを片足でそっと踏む。もちろん、重心はスロープ側の足に乗せたままだ。


「結構硬いな。罠じゃないんじゃないか?」

 怪訝な顔をすると、足元から高田部長イーグルの方に視線を送る。ここが『秘密の出入口』だとしたら、もしかして敷地の外に出られるかもしれないのだ。


 しかし高田部長イーグルの表情に変化はない。ニヤニヤ笑うイヤらしい笑顔だ。まるで『俺には判る』とでも言いたげな、いかにもムカつく感じのそれである。


 足元のちょっと大きめの石を拾い上げると、ポンポンと手の平で弾く。嫌な予感がして、本部長ペンギンが後ろに下がる。

 そして大きく振りかぶると、思いっきり水平部分に叩き込んだ。


『カァァァン』

 特に変化はない。やはり『見当違い』だったのだろうか。

 いや、そうではない。二人の表情に変化はないが、黙って本部長ペンギンが前に出る。そして、軸足の左足をスロープ側に置いたまま、右足で思いっきり『地面』を蹴り込んだ。


 地面だと思っていた『蓋』が下がり、パックリと暗闇が現れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ